米司法省は17日、米国在住の民主活動家らへの嫌がらせや越境弾圧に従事したとして、中国公安部の職員ら計44人を追訴したと発表した。ネット工作を通じて米世論の分断を図ったり、活動家たちのSNSアカウントを停止に追い込むなどしていた。
追訴されたのは、越境弾圧を目的とするエリート部署「912専項行動工作組」の40人と国家ネット情報弁公室の幹部2人。被告は中国国内やインドネシアに潜伏しているとみられる。
司法省によれば、被告は米国在住の民主活動家などを脅迫するために、偽のソーシャルメディアアカウントを作成・使用したほか、米国通信企業の従業員と共謀して反体制派の言論を抑圧した疑いがある。
米国連邦地検のブレオン・ピース氏は追訴にあたり発表した声明の中で「中国共産党は国家警察の精鋭部隊を配備し、言論の自由を支持する米国在住の中国人反体制派を攻撃し、米国内の分裂を煽るために偽情報とプロパガンダを流している」と非難した。
ツイッターで脅迫
司法省によれば、越境弾圧策の取り組みの一環として、被告らはツイッターを含む複数の米国所有のプラットフォームで数千の偽ソーシャルメディアアカウントを作成・使用し、中国共産党に異論を唱える人権活動家などに嫌がらせや脅迫を行った。
そのほか、被告らは反体制派が主催した、天安門事件や共産主義に反対するテーマを取り上げたオンライン会議を妨害し、プラットフォームのチャット機能を通じて脅迫や卑猥な言葉を投稿したりした。
連邦捜査局(FBI)のカート・ロンノウ代理次長は「中国公安部は、中国共産党に反対する勇気を持った中国系の人々を標的にするために工作員を使っている」と指摘。「米国は中国共産党の弾圧を容認するつもりはない」と強調した。
プロパガンダや偽情報の流布
被告らは反体制派の言論封じ以外に、米国内の分裂を煽る偽情報なども拡散していた。
司法省によると、被告らは米国のソーシャルメディアを通じて米国の国家安全保障と選挙の完全性を損なうことを目的とした中国共産党のプロパガンダや偽情報を拡散した。その中には、「米国の民主主義が必然的に破滅する」「米国が新型コロナウイルスの起源」といった主張が含まれていた。
また、被告らは中共のプロパガンダに同調的な米国市民を協力を募り、オンラインで拡散するよう依頼することで、偽りの主張を効果的に広げ、中国共産党の代理人として活動させようとしていたという。
米司法省のマシュー・オルセン司法次官補は「これらの行為は、我々の法律に違反し、民主主義の価値と基本的人権を冒涜するものだ」と述べた。
司法省は同日、別件で越境弾圧に従事しているとされる中国海外警察署を運営していた疑いで中国系米国人の男2人を逮捕したと発表した。
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