姿形を変え米教育機関に近づく孔子学院…米上院議員「影響力排除を」

2023/04/05
更新: 2023/11/14

米上院の共和党議員団は3月30日、中国共産党と結びつきのある団体と関係を持つ高等教育機関への資金援助を阻止する法案を発表した。孔子学院が名称を変更して米教育機関との関係を結ぼうとする動きがあるなか、議員団は法案提出を通じて中国共産党の影響力排除に力を傾ける。

現在、米国は国防権限法2021に基づき対外プロパガンダ機関、孔子学院を設置する教育機関への資金援助を制限している。この法案は範囲を広げ、軍民融合政策のもと中国軍の技術発展に寄与する教育機関や諜報機関と関係を持つ米国内団体を対象とする。ここで示す関係とは、組織との契約・協定の締結、寄附の受け取りも含まれる。

法案を提出したリック・スコット議員は「孔子学院は、中国共産党のプロパガンダの温床であり、研究者を装った中国スパイ知的財産を盗むことを可能にしている。このようなスパイ機関に税金が使われることを許してはならない」と強調した。

法案を共同提出したトム・ティリス議員も「中国共産党とつながりのある米教育機関に政府資金が渡らないようにすべきだ。彼らは敵対的政権の支配下にあり、米教育機関での言論の自由を脅かしている」と述べた。

下院でも同様の法案が超党派で提出されており、米教育機関における中国共産党の影響力排除を目指す。

名前を変更し生き残り図る「孔子学院」

中国の言語や文化の普及を目的に世界各地に設置された孔子学院だが、近年では中国共産党のプロパガンダ機関であるとの厳しい目が向けられている。

2021年、フランス国防省傘下の軍事学校戦略研究所は報告書の中で、中国共産党が孔子学院を通じて海外でプロパガンダを展開し、共産主義イデオロギーを広めていると指摘した。昨年には、英シンクタンク「ヘンリー・ジャクソン・ソサエティ」が、孔子学院は中国政権のプロパガンダ拡散に従事していると警鐘を鳴らした。

いっぽうで、こうした背景を念頭に全米で閉鎖が相次ぐなか、孔子学院は名称を変更して米教育機関と契約を結んでいる。米国の保守派団体「全米学識者協会(NAS)」の報告書によれば、孔子学院を運営する中国国家漢弁は別プログラムを立ち上げ、米大学との提携を再開していると指摘した。

その他、孔子学院関連団体以外に切り替える例も確認されている。資金提供の制限を理由に3月に孔子学院の閉鎖を発表したトロイ大学は、中国教育部傘下の中国国際教育交流センター(CCIEE)のプログラムを通じて中国の大学との関係を維持すると表明した。

米国をはじめ国際関係担当。