台湾の蔡英文総統が中米訪問の経由地である米ニューヨークに到着した現地時間3月29日、その宿泊ホテルの外には「歓迎」と「抗議」の両陣営が道路を挟んで対峙した。
地元警察が秩序維持に当たるなか、蔡総統がホテルに到着すると、支持グループは手持ちサイズの台湾や米国の国旗などを振り、「歓迎」の横断幕を掲げて、「頑張れ台湾!(台湾加油)」などと歓声を上げた。
抗議スローガンを間違えて、無知を露呈
いっぽう、道路を挟んだ向かい側には、中国国旗を振り、蔡氏を罵るプラカードなどを掲げた抗議グループが陣取り、騒がしく罵声を上げている。
ただし、この日は「両陣営の対照的なお出迎え」だけではすまなかった。なんと抗議陣営が「スローガンの文句を間違えている」と指摘され、それが「恥さらし」としてネット上で拡散され、もの笑いの種となったのだ。
抗議側は、中国の諺(ことわざ)である「数典忘祖」を「忘典数祖」と間違えた。確かに、彼らの掲げるプラカードにも書いてある。
「数典忘祖」の原義は、自国の典故を一つひとつ述べる際に、その記録を自分の祖先が司ったことを忘れる、つまり「自国の歴史を知らない。物事の根本を忘れる」という意味である。これは、売国奴を罵る際の常套句にもなっている。
これを言い間違えて「忘典数祖」にすると(もちろんこんな諺はないが)文面的に見たら「自分の先祖を数える?」といった不可解な意味になってしまう。
この恥ずべき間違いについて、1989年の中国の天安門事件で弾圧された民主化運動の元学生リーダーで米国に亡命した王丹氏は3月30日、自身のツイッターでこう指摘する。
「あれは『数典忘祖』で『忘典数祖』じゃない、なぜご先祖様を数えるのか?」
あなた方こそ「数典忘祖」だよ!
王氏はさらに「中国の諺を間違えるあなた方こそ『数典忘祖(物事の根本を忘れる)』だよ!」「現場で蔡総統への抗議をする皆さん。頼むから、恥をさらさないでくれないか?」と続けた。
この王氏によるツイートには、多くのコメントが寄せられている。
その中には「この人たちはどう見ても(雇われた)役者だよ、真に受けない方がいい」「これが証明したことは、要するに本当に教養や見識がある人は、このようないわゆる『抗議活動』には参加しないということだ」「(抗議する)この老人たちは、政治などに関心はない。ただの金目当てさ」といった声が目立った。
抗議者は中国政府が集めた「サクラ」
台湾政府の情報機関・国家安全局のトップである蔡明彦氏は30日、現地(ニューヨーク)で抗議する人たちについて「中国政府が雇った者だ」とする見解を示した、と台湾メディアのTVBS新聞網などが報じた。
それによると「中国の総領事館は蔡総統の米国経由に対する抗議のため、積極的に人を集めており、1人当たり200米ドル(約2万7000円)の日当を支払っている」という。なお、この日当には「抗議者」の食費や宿泊費、交通費などは含まれない。
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