中国でEV「原因不明の発火」が頻発 高まる安全性への不安、日本の路線バスも導入予定

2023/03/24
更新: 2024/06/28

世界の自動車業界ではEV(電気自動車)へのシフトが進んでいる。

そのような中、世界各地で、電気自動車やガソリンエンジン車に充電機能を併せ持つプラグインハイブリッド車といった「新エネルギー自動車」が、通常に使用しながら自然発火するという事故が頻発している。

なかでも中国では国産(中国製)EVによる発火事故が相次いでおり、安全性に大きな懸念が寄せられている。

中国の緊急管理省(中国名、応急管理部)のデータによると、2022年の第一四半期ではEVの発火事故は640件だった。これは2021年の同時期に比べると、32%の増加となっている。

つまり、平均すると1日に7台以上のEVが、中国のどこかで発火・炎上していることになるのだ。

ところが中国の場合は、政府が普及を進めていることもあり、事故が起きても隠蔽されて報道されないケースが多い。それらは原因究明されていない事例がほとんどで、時折海外のSNSなどに炎上の様子を映した事故動画が流出しているが、その実態は不透明なままである。

中国の「新エネルギー車」のメーカー別の販売ランキングで、圧倒的トップに立つのが同国自動車メーカー大手のBYD(比亜迪)だ。BYDは昨年、新エネ車の年間生産および販売数が前年比3倍と、それぞれ180万台を超えたという。

しかし、中国政府が新エネルギー車普及のために支給していた補助金は、昨年末で打ち切られた。また、コロナ禍による経済低迷の影響もあって、今年に入ってからは売れ行きが芳しくない。そこでBYDなどEVの国産メーカーは、大幅な値下げキャンペーンを行っている。

だが、販売トップのBYDは、ネット上では「中国大陸の自然発火王(大陆自燃王)」という不名誉なあだ名が付けられるほど、発火事故が最も多いメーカーともされている。

「(中国の)国産車、なかでもBYD製のEVはよく燃える」は中国の民間では常識になりつつあるが、これを報じる中国メディアはほとんどなく、米国製のテスラばかりが槍玉に挙げられている。

BYD製EVについては「停車中に自然発火した」「エンスト(エンジンが停止)したと思ったら発火した」「レッカー移動中や充電中に発火」。さらには「販売店前での展示中に発火した」など信じ難いような実例もある。

ほかにも「通常の走行中に自然発火した」などの危険な例や、「新車を買って、数日しか経ってないのに自然発火」「ナンバープレートをつける前に燃えた」という泣くに泣けないケースもあった。

(ツイッター投稿動画:説明文の邦訳「最近では1週間に9台も炎上。BYDはさすがに自然発火王と呼ばれるだけあるなあ」)

EV車両の消火は特に難しいと指摘されている。また、このようなEVの自然発火が周囲の車に燃え移り、大惨事になるケースもある。

昨年7月に開かれた「2022世界動力電池大会」でEVのバッテリー発火事故に関する講演を行った中国科学技術大学の孫金華教授によると「EVの発火事故の発生率は、ガソリン車の2倍以上」という。

このようにEVの発火や火災が相次ぎ、社会問題にもなっていることから、EVシフトを進める自動車メーカーにとって、発火事故の撲滅が喫緊の課題となっている。

BYDは、昨年7月に日本の乗用車市場への参入を発表している。それに先がけて、日本では2021年末から、京都市内を走る一部の路線でBYD製の電気バス(4台)の運行が始まっている。BYDは今後10年内に、4000台の電気バスを日本で販売する計画だという。

↑ツイッター投稿動画:(説明文の邦訳)3月15日に武漢の街中で自然発火した中国の国産EV車。

↑ツイッター投稿動画:(説明文の邦訳)自然発火したBYD車、ドアロックが自動でかかり、運転手ともう1人が車内に取り残されて生きたまま焼き殺された。辺りに響く悲鳴。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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