(本記事には、ご遺体の動画が添付されています。閲覧の際はご注意ください)
「真実こそ命を救う」を信念として、米ニューヨークより情報発信をするジェニファー・ゼン(曾錚)さんは12日、昨年12月に中国の獄中で「非正常な死」を遂げた法輪功学習者・龐勳(ほう くん)さんの遺体を撮影した動画をSNS上に投稿した。
「惨殺された息子」が母の目の前に
1999年7月20日より、当時の江沢民総書記の独断的命令によって中国国内の法輪功学習者に対して大々的に開始された迫害は、24年目となる2023年の今も続いている。
亡くなった龐勳さんは30歳。龐さんの体には、電気ショックによるとみられる火傷の跡など体中にひどい傷やアザがある。それらは、龐さんが絶命するまで残酷な拷問を受けていたことを物語っている。
また、事情を知る関係者は大紀元の取材に対し「半年前に面会した時は、すでに体中傷だらけだった。彼は拷問されている」と明かした。
動画のなかには、母親と思われる女性が「我が息子よ、さぞつらかったろうに」と泣きながら遺体の顔を撫でるシーンもあった。
投稿されたファイルのなかには、衝撃的な遺体動画のほかに、龐さんの生前の写真などもある。笑顔がさわやかな美男子だった。
以前から法輪功を修煉していた龐さんは中国伝媒大学を卒業後、四川省のラジオ放送局(四川人民広播電台)で番組の司会者を勤めた。
龐さんは2020年7月26日、仕事に出かける途中で逮捕された。その後、5年の実刑判決を受けたが、2022年12月2日、四川省の楽山刑務所で亡くなった。
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知人のなかで「最も純粋で親切な人だった」
ジェニファー・ゼンさんは、かつて中国最高レベルの政策研究諮問機関である国務院開発研究センターに勤めた経験を持ち、中国の内情を熟知する「内部関係者」として知られている。
ゼンさんによると、龐さんが死亡した情報の発信元は、龐さんの友人と称する十数万のフォロワーを抱えるインフルエンサー「豆瓣鵝組日報」というツイッターアカウント。同アカウントは昨年12月24日に「妻と一番仲が良かった大学のクラスメートが、中国共産党の獄中で亡くなった」という第一報をツイートしている。
同アカウントは、今月12日に「龐さん家族の同意を得た」とした上で、遺体を撮影した映像を投稿した。
「彼は、とても明るくてハンサムな青年だった。私の知人のなかで、最も純粋で親切な人だった」とその死を嘆くとともに、「彼は法輪功学習者だった。しかし、それは決して中国共産党が彼を殺して良い理由にはならない!」と訴えた。
さらに、龐さんの死因について「刑務所は、甲状腺の病気が原因だと主張している。しかし、私を含め、彼をよく知る人はみな、彼が非常に健康で、命を落とすような持病はないことを知っている」と死因に疑問を呈した。
また同アカウントは、龐さんが逮捕投獄された日が「2020年7月27日」と明かし、ネット上に飛び交う「彼は白紙革命の参加者だった」とする噂を否定している。
「人間の良知」があるから声を上げた
同アカウント「豆瓣鵝組日報」は、法輪功学習者である龐さんのために声を上げることについて、こう述べている。
「私も多くの中国人と同様、宗教的な信仰は持っていない。もちろん、彼のために声を上げれば、私のアカウントが『法輪功支持者リスト』に載って、攻撃されたり、フォロワーが減るリスクがあることは承知している。しかしそれでも私は、人間として基本的な良知を持っている。だから声を上げた。そのことと龐さんの信仰とは関係ない」
同アカウントはさらに、こう付け加えた。「例えば、水に溺れている子供を助けたとする。その子が法輪功学習者やキリスト教徒だと聞いて再び水に投げ入れるような事は、私の知る限りでは中国か北朝鮮でしか起きないだろう」
これは「氷山の一角」に過ぎない
「豆瓣鵝組日報」による龐さんの死を伝える投稿には、様々なコメントが寄せられた。
「似たような事件はほかにもたくさんある。今回は、たまたま彼があなたの友人であり、しかもあなたには多くのフォロワーがいたから投稿一つで拡散された。私の周りにも法輪功を修煉していたために迫害に遭い亡くなった方がいるが、波風ひとつ立たなかった。遺族は、当局を恐れて遺体を引き取りに行くこともできなかった」
「信じられない。近年の国際社会による圧力の中であっても、中国共産党は法輪功への迫害を少しも緩めていないなんて! かつて法輪功の迫害に関わった官僚が相次ぎ落馬(注:失脚する)しているというのに。血の債務がまた一つ、中共の歴史に刻まれた」
法輪功情報サイト「明慧ネット」の不完全な統計では、昨年中国共産党の迫害により少なくとも172人の法輪功学習者が死亡した。今年は、1月時点で分かっているだけでも15人が死亡している。
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