バイデン米政権は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への輸出許可を停止した。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)1月30日付が報じた。ファーウェイは数年前から輸出規制の対象だったが、今回の措置で全面的に米技術・製品の輸出を取りやめる。
ファーウェイのノートPCやスマートフォンの一部の部品は中国国内で調達できず、インテルやクアルコムなど米国企業に依存している。これまで米国は一部品目の輸出を許可していたが、今回の制裁で完全に取引を遮断するという。
新たな制裁の詳細は公表されていないが、2019年に発動した制裁同様、第三者との取引も制限するものであれば、外国企業もファーウェイには製品を提供できなくなる。前回までの制裁により半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)などは出荷停止を余儀なくされ、ファーウェイの経営に打撃を与えた。
ファーウェイはスマートフォンなど消費者向け商品の製造販売が低迷して以降、産業界や行政向けのビジネスに注力してきた。中国国内メディアによれば、政府支援を受けて中小企業、電気自動車、医療などの分野でクラウドサービスを提供している。
しかし海外企業の取引がなくなれば、スマートフォンのみならずクラウド事業への影響も出るとみられる。クラウドサービスの運営にはインテルやAMDによる設備の導入なしには困難だ。
米中競争が進む中、戦略物資と呼ばれる半導体分野では、日本を含む同盟国や有志国は旗幟鮮明を迫られている。米国は半導体の輸出規制強化のみならず、半導体製造装置の主要メーカーを持つ日本とオランダにも、対中取引規制を講じるよう強く求めたという。ニューヨーク・タイムズなどが報じている。
いっぽう、米国によるファーウェイ排除の動きについて、中国外交部は強く抗議している。中国時事コメンテーターの姜光宇氏は、ファーウェイへの制裁により外国企業の減収は一定程度は避けられないが、各国企業は「長期的なビジョンを持つべき」と呼びかけている。
「短期的な損失に比べれば、詐欺や偽造、窃盗、情報遮断、だまし合いもなく、条例の朝令暮改もない環境を選んだほうが良い」と指摘。対中投資と取引リスクを改めて強調した。
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