香港の裁判所は7日、2019年の民主化運動に関与したとしてソニーミュージック香港と契約していたアーティスト、レスター・チョン氏を含む10人に最高4年4カ月の判決を言い渡した。
チョン氏は2019年、民主化デモが続く香港で、香港理工大学を警察隊が包囲した際に逮捕された。当時、警察は閃光弾などを使い逃亡犯条例改正反対デモで最多となる1000人あまりを逮捕している。
裁判所はデモ隊が警察と衝突した際、約250個の爆弾を投げつけ、4人の警察官が負傷したと判定した。また、暴力行為には参加していないとする弁護側の主張を退け、各デモ隊が行った個々の行為ではなく、全体として考慮されなければならない「深刻な」事件だと断じた。
しかし、チョン氏を含むすべての被告が暴力を振るったことを証明する証拠はなく、当日の所持品はマスクのみの者もいたという。
当時の大学に集まっていたデモ隊を救出するため、10万人におよぶ市民が現場に駆けつけ食品や水などを学生に提供していた。ポンペオ米国務長官やミッチ・マコーネル議員など複数の米議員も香港政府の対応を非難し「共産党が、もし香港を21世紀の天安門広場にしたならば、破滅的な打撃を与える必要がある」と非人道的な行為を非難していた。
ソニーミュージックとの契約解除
2020年2月15日、チョン氏は逮捕・起訴された後ソニーミュージックとの契約を解除した理由について、「自分の裁判によって音楽業界が影響を受けることを避けたかった」とSNSで打ち明けた。
「名声やお金はきらびやかかもしれないが、私たちが最も必要とするものであるとは限らない」「私たちは率先して人生の目的を見出すべきだ。たとえ生き地獄であったとしても、その中でベストを尽すべきだ」とも述べていた。
チョン氏の曲『Will (Not) See You Soon』では、「明るい赤。くすんだ緑。本当は、死ぬのが怖い。でも、自由を失うことも恐れている。私はただ自由になりたい」と心の内を吐露している。
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