「抗議しているのは主に不満が溜まった若者であり、中国世論の総意ではない」と強調する習主席に、中国評論家は異議を唱えている。
中国の習近平国家主席は1日、欧州連合(EU)のミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)と会談した際に、中国各地で起きている厳格なコロナ規制に対する抗議運動について、「抗議しているのは主に学生や10代の若者だ」と説明した。
この主張を受けて、米国在住の時事評論家である秦鵬氏は自身の評論番組の中で、「『白紙革命』を起こしたのは主に大学生ではあるが、中国の社会全体が『ゼロコロナ』に反対をしている」と反論した。
「ゼロコロナへの反対から始まったデモでは、ほとんどの抗議者は『共産党は退陣せよ』『習近平退陣せよ』『人権が欲しい』『自由が欲しい』といった声を上げている。これらは習氏が言うような『コロナ禍による不満』の訴えを超えた要求だ」と秦氏は指摘した。
監視、欺瞞、強制、暴力ーー。こうした中国共産党の非人道的な政権に立ち合う果敢な中国人は増えていると秦氏は語る。
抗議デモの発生から3日で1週間を迎えた上海市では、5日から地下鉄やバスなどの公共交通機関での陰性証明書の提示が不要になるなどの一部の対策を緩和した。政府は規制緩和をアピールしているが、北京など大都市を中心に住宅封鎖や行動規制が続いており、市民の不満はくすぶっている。
「封鎖と封鎖解除を繰り返すなど、当局の防疫方針は朝令暮改だ。中国は混沌を極めており、混乱はまだまだ続きそうだ」と秦氏は予測した。
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