中国共産党の故趙紫陽元総書記の秘書だった鮑彤氏が9日朝、病気のため北京で死去した。90歳だった。1989年の六四天安門事件や法輪功弾圧に反対するなど、中国共産党の独裁体制を厳しく批判してきた。
「人間は、天と地の歴史の中にいる、ごく小さな存在に過ぎない。私が90歳になるかならないかは重要ではない。大切なのは私たちが守るべき未来だ。今できること、やるべきこと、やらなければならないことを、しっかりやることが大切だ」。亡くなる4日前の90歳の誕生日に、鮑彤氏はこう訴えていたという。
鮑氏は1932年、浙江省海寧市に生まれた。改革開放が始まった1980年代初頭に趙紫陽総書記の政治秘書となり、趙氏とともに経済のみならず政治改革案も策定した。
腐敗反対と民主化を訴える学生らが天安門広場に集った1989年、趙紫陽氏は民主主義のプロセスで問題解決すべきと唱え、鮑彤氏は支持した。しかし、党中央軍事委員会の鄧小平氏らに聞き入られることなく、両氏は失脚。民主デモは武力で鎮圧された。その後、鮑氏は国家機密漏洩罪に問われ、懲役7年の実刑判決を受けた。今年6月4日にラジオ・フリー・アジア(RFA)に寄せた寄稿文では、天安門事件を「虐殺」と呼んだ。
1996年の出所後も当局の厳しい監視下に置かれた。この1年、海外から鮑氏への電話はつながらなくなっていた。
鮑氏は生前、中国共産党による法輪功迫害にも声を挙げ、その弾圧政策を厳しく批判してきた。2015年に大紀元の取材に応じた際は「江沢民の法輪功迫害は人道に対する罪だ」「いかなる市民への迫害も、すべての市民と社会への迫害である」と述べていた。
「法輪功の『真・善・忍』は普遍的な価値である。この実践に何の問題もなく、迫害は言語道断だ。中国共産党の圧力を受けても、法輪功はさらに強いものとなった」と語っていた。
法輪功は中国の伝統的な修煉法。その圧倒的な人気を脅威とみなした当時の中国国家主席・江沢民によって、1999年7月20日から大規模な弾圧を受けている。
英紙ガーディアンによると、中国共産党は鮑氏の葬儀を「非常に敏感なもの」とし、反体制派や活動家の参列を認めていない。
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