[フェニックス 7日 ロイター] – 8日投開票の米中間選挙では、約12の州知事選で接戦が予想され、その結果は人工妊娠中絶や投票権、銃規制などの問題に大きな影響を与える見通しだ。
中間選挙は通常、連邦議会の主導権争いが最大の焦点となり、州レベルの選挙は注目度が比較的低くなりがちだが、今回はその影響の大きさから関心が高く、資金も多く集まった。
民主党はペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガン各州で知事の維持を目指す。共和党が支配する3州の議会が中絶の権利や投票権を制限する法案を可決した場合に、拒否権を行使するためだ。
アリゾナなど大統領選挙の激戦州で共和党が勝利した場合、2024年の大統領選に影響を与える可能性もある。こうした幾つかの州では同党候補者が、20年大統領選は盗まれたというトランプ前大統領の虚偽の主張を支持している。
アリゾナ州知事選は全米で最も僅差の争いの一つになる見通しで、トランプ氏が推すカリ・レーク候補は選挙不正に関する主張を繰り返すとともに、自身が当選すれば郵便投票を禁止すると公約している。
一方、民主党候補のホッブズ州務長官は20年大統領選の際にアリゾナ州の選挙結果を擁護して注目を浴びた。
8日の選挙では全米50州のうち36州で知事選が行われ、大半は民主党、もしくは共和党による保持が確実とみられている。現時点で共和党は28、民主党は22の州で知事職を握っている。
フロリダ州では、24年大統領選への出馬が予想される共和党現職のデサンティス知事が民主党のチャーリー・クリスト候補に勝利するとみられている。
テキサス州では民主党のベト・オルーク元下院議員が精力的な選挙戦を展開したが、共和党現職のアボット知事が3期目の当選を果たす見通しだ。
ジョージア州でも共和党のケンプ知事が、18年の選挙で対戦した民主党のステーシー・エイブラムス氏に再び勝利する可能性が高い。
一方の民主党はメリーランド、マサチューセッツ両州で共和党から知事職を奪う見通しだが、他の幾つかの州では苦戦が予想される。
<接戦の様相>
3人の争いとなるオレゴン州では、民主、共和候補が接戦を繰り広げる中、無所属候補に民主党の票が流れ、40年ぶりに共和党知事が誕生する可能性がある。
こうした中、バイデン大統領は6日にニューヨーク州の集会で支持を訴えた。同州では共和党のリー・ゼルディン候補が犯罪を巡る問題で攻勢をかけ、ホークル知事(民主党)のリードが1桁に縮小している。
連邦議会選と同様、州知事選でも民主党候補らは、共和党が勝利すれば中絶の権利や投票権が危ぶまれると警告。共和党候補は主に犯罪や経済に焦点を当て、民主党の政策がインフレを引き起こしたと批判している。
ミシガン州のウィットマー知事(民主党)は中絶問題を選挙戦の焦点に据えた。トランプ氏が推す共和党のチューダー・ディクソン候補はほぼ全面的な中絶禁止を支持している。
ウィスコンシン州でも民主党のエバーズ知事が中絶禁止を掲げる共和党のティム・ミシェルズ候補と接戦を強いられている。ミシェルズ氏は最近の集会で、自身が当選すれば「共和党がウィスコンシン州の選挙で負けることは二度とない」などと発言しており、同氏が今後の選挙をどのように扱うかを巡っても懸念が浮上している。
ペンシルベニア州では、選挙管理を担う州務長官を知事が任命する。選挙前最後の週末、バイデン大統領とオバマ元大統領、トランプ前大統領はそろって同州で候補者の応援に入った。
共和党のダグ・マストリアーノ候補は選挙不正に関するトランプ氏の誤った主張を繰り返しているほか、昨年1月6日には20年大統領選の結果に抗議するため連邦議会議事堂に足を運んだ。
世論調査では民主党候補のシャピーロ州司法長官がリードしている。
(Tim Reid記者、Daniel Trotta記者)
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