11月8日に中間選挙を控えるなか、外国勢力による選挙干渉が懸念される。米国土安全保障省サイバーセキュリティー・インフラストラクチャー・セキュリティー庁(CISA)のイースタリー長官は、中国などが選挙に影響を与える可能性があるとして、警告を発した。
イースタリー氏は1日、米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)で講演を行なった。中国やロシア、イランによる選挙干渉に懸念を示し「不和の種をまき、米国人の分断を煽り、選挙の完全性を損なおうとしている」と述べた。
中国の選挙干渉については、これまでも報告書などで指摘されてきた。
フェイスブックを運営する米メタ・プラットフォームズは9月、米国で情報工作を図ったとして、中国に拠点を置くグループのアカウントを削除したと明らかにした。中絶や銃規制など論争の的となる話題について虚偽の扇動的な投稿を拡散し、米国人の政治的偏向を高めようとしていた。
サイバーセキュリティ企業マンディアントは先月発表した報告書のなかで、中国共産党の支援が疑われるサイバー集団「ドラゴンブリッジ」が大量の偽情報を拡散し、政治体制の中に対立を生み出す情報心理戦を仕掛けていると指摘した。
中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営する動画共有アプリ「ティックトック(TikTok)」も選挙干渉の一環として挙げられている。ティックトックは自社の「政治広告を一切許可しない」とのポリシーに反し、あからさまな偽情報を含んだ政治広告を受理していたことが、ニューヨーク大学などが発表した報告書によって明らかになった。
こうした活動に対してサイバー防御を維持することが重要だとイースタリー氏は指摘、「破壊的な活動に備える必要がある」と述べた。いっぽう、同氏によれば現時点で中間選挙に向けた具体的な脅威は見受けられない。
また、「民主主義を守る最前線にいるのは、その選挙を運営する州や地方の役人」だとし、投票システムや選挙インフラを守るのに必要な情報を入手するなどサポートしていくと表明した。
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