米連邦捜査局(FBI)は銃砲店に対し、一部顧客の情報を開示するよう義務付けることを発表した。これに対し共和党の検事総長や銃砲店からは反対の声も上がっている。
FBIは正規の銃砲販売業者に対し、銃器購入の際に取引遅延が発生した場合や、取引の許可が下りなかった顧客について、個人の住所をFBIに開示するよう義務付けた。FBIは当該顧客の住所と取引の履歴を取りまとめ、地元の法執行機関に提供する。以前は取引遅延などが生じた場合、業者は顧客が居住する州の名称のみを開示していた。
米国では銃器犯罪を防ぐため、購入時に全米犯罪歴即時照会システム(NICS)による身元調査が行われる。米国の銃器権利団体が入手したFBIの電子メールによれば、販売業者は取引遅延などの顧客情報をNICSに提出することとなる。さらに、NICSはそれらの情報をもとに、24時間以内に取引遅延などの顧客が居住する地域の法執行機関に情報を通知する。
今回の新しい政策は、バイデン政権の2022年度財政予算に政策パッケージとして組み込まれたものだ。
直近の一連の銃規制に向けた取組みは国民の権利を不当に侵害しているとして、批判の声も上がっている。
テキサス州にある銃砲店「Central Texas Gun Works」は9月26日に声明を発表し、最終的に成立した銃器取引でも顧客情報の開示を義務付けることに疑問を呈した。
声明では、顧客情報開示の義務化は、議会が提出した法律には定められていないと指摘。「ATFもFBIも、違法銃器所有者のデータベースを作成するためだけに、議会の権限を超越し、憲法に違反することはあってはならない」と強調した。
米国のクレジットカード会社が銃規制団体などの圧力から、銃器取引を追跡しようとする動きも見られた。先月、カード大手のVISAなどは銃器の購入履歴を判別できるよう、新たな商品分類を設ける意向を示した。米国では現在、銃器の購入は「一般商品」として分類されている。
これに対し、全米ライフル協会は、VISA社の動きは「法律を順守しているアメリカ人の権利を侵食している」と指摘した。
共和党の州検事総長ら24人もクレジットカード会社に対し異議を唱えた。銃器専用の分類を設け流通を追跡する計画は、公共の安全を守るどころか、法律を順守する小売店や顧客を不当に排除し、悪用される可能性があると批判した。
調査会社センチメントが昨年実施した全米銃器調査によると、米国人が所有する銃の数は4億1500万丁を超えるという。米国の人口が3億3300万人と推定されることから、国民1人当たり1.25丁の銃器を所有していることとなる。
(翻訳編集・李春麗)
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