吉林省長春市の中級人民法院(地裁)は22日、中国公安部副部長などを務めた傅政華・前司法部長(司法相に相当)に執行猶予2年付きの死刑判決を言い渡した。中国共産党の第20回党大会を控えるなか、指導部が粛清を通して引き締めを図ったとの見方がある。
判決文の罪名は収賄など。執行猶予2年付きの死刑判決のため、猶予期間後は無期懲役となるが、減刑や仮釈放は認められない。受け取った賄賂と全財産が没収される。
傅氏は2005年~21年まで、北京市公安局副局長、局長、公安部副部長、共産党中央政法委員会委員などを務めた。在職期間中、職務上の便宜を図るなどして1億1700万元(約1660万ドル)を超える賄賂を受け取っていた。
傅政華は、汚職等の罪で公判中の孫力軍元公安次官の政治グループに参加していたとされる。習近平政権は汚職摘発キャンペーンのなかで、江沢民派の孟建柱・前党中央政法委書記とも関係が深い孫力軍について「政治的野心が極端に膨らんでいた」「組織を作り、政府の主要部門を支配しようとしていた」などと痛烈に批判した。
傅政華以外にも、孫力軍の政治グループに参加したとされている司法・公安関係の高官3人が21日に刑を言い渡された。また、9日には公安部の劉彦平・元次官が逮捕された。
なお、傅政華は他の重大事件に関する重要な証拠を提示したことから、死刑の即時執行を免れたという。
中国の警察権力を掌握する公安官僚として、傅政華は共産党当局の弾圧政策を実行した。江沢民が創設した法外の機関「610弁公室」の責任者を兼任した際、伝統気功グループである法輪功の学習者らに対する拘束、嫌がらせ、拷問に加担した。また、15年7月~9月にかけて中国で300人超の弁護士が当局に拘束された「709事件」を指示したとされる。
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