中国、半導体産業への取り締まり強化 関連基金管理会社幹部らを拘束

2022/08/10
更新: 2022/08/10

中国の習近平政権は、半導体セクターに対する取り締まりを強化している。当局は9日、国有半導体ファンドの管理機関である華芯投資管理有限責任公司(以下、華芯投資)の元・現上級幹部3人を調査していると発表した。

中国共産党中央規律検査委員会と国家監察委員会は公式サイト上で、「重大な規律違反と違法行為の疑い」で、華芯投資の杜洋・前総監、同社投資三部の楊征帆・副総経理を調査していると公表。また、同社投資二部の劉洋・前会長も「違法行為の疑い」で、北京市監察委員会で調査を受けているという。

中国政府系金融機関、国家開発銀行の子会社である国家開発金融有限公司は、華芯投資の45%株式を保有している。中国メディアによると、華芯投資は、国有半導体ファンドである国家集成電路産業投資基金(大基金)の「唯一の管理者であり」、同基金の投資運用を管轄する。

中国当局は7月、肖亜慶・工業情報相、大基金の丁文武・総経理を取り調べていると発表。また、華芯投資の路軍・前総裁や国有半導体メーカーの紫光集団の趙偉国会長ら4人の身柄を拘束した。

中国はここ10年、欧米への依存から脱却するために半導体の自給率向上を目指し、半導体セクターへの投資を加速してきた。6月末、習近平国家主席が武漢市の半導体産業に関わるレーザー機器工場を視察した際、「科学技術分野における自立自強を加速しなければならない」「製造強国を建設するには、まず技術開発を強化し、国産化率を上昇しなければならない」などと述べた。

いっぽう、ブルームバーグによると、中国指導部が7月に受けた半導体産業に関する報告では、業界の技術向上が誇張され、多くの投資プロジェクトが成果を上げられなかったことが明らかになった。

中国の政府系研究機関が半導体リソグラフィ技術の開発に取り組んでいるが、依然としてオランダの半導体製造装置メーカー、ASMLに頼っており、フォトレジストに関しては日本企業に依存している。毎年、中国の半導体関連の輸入額は1550億ドルに達している。

米国側の禁輸措置も一因。中国指導部は国策である半導体国産化が思い通りに進まないことに頭を抱えていると、ブルームバーグは報じた。

米国のバイデン大統領は9日、中国に対する競争力を高めるため、国内半導体産業支援法案に署名し、同法が成立した。同法の下で、米国政府は今後10年間で半導体産業に総規模2800億ドルの資金を提供する。大統領は、半導体は「将来、米国で作られるようになる」と話した。

時事評論家の唐靖遠氏は、中国の半導体国産化が失敗に終わった主因は「国が莫大な資金を投入し、国有独占企業に業界を支配させることにある」と指摘し、中国半導体産業の技術開発や研究、生産は「政治に左右されやすく、上層部への虚偽報告も多い」とした。

張哲
張哲