中国官製メディアはこのほど、国際ブランド・ディオールの2022年秋コレクションのプリーツスカートが、中国古代の「馬面裙(馬面スカート)」のデザインを模倣したと主張した。7月23日、在仏中国人らがパリのシャンゼリゼ通りにあるディオール旗艦店付近で抗議を行った。
参加者は約50人。中国共産党機関紙「人民日報」は、7月に発表された同スカートのデザインは中国古来の馬面スカートを模倣したと主張し、「文化の盗用」と批判した。
馬面スカートは、10世紀の宋の時代に生まれた巻きスカートで、サイドのプリーツが特徴で、明・清の時代では女性の普段着に定着した。
ただ、ファッション専門家は「柄も色も、似ているとは思えない」と評した。
一人の抗議者は、現場取材した台湾国営通信社「中央通信社(CNA)」に中国官製メデイアの言い分を繰り返し、「これは我々の文化に対する侵略、流用、盗作だ。我々の数千年の文化をこのように奪われるわけにはいかない」と憤慨した。
いっぽう、現場には抗議に反対する中国人らも集まり、「スカートは人権より大事か」「人権は不可欠」という看板を掲げた。
抗議者から暴行を受けたと主張する中国人は中央通信社に、「彼らは、天安門事件で虐殺された大学生のためにも、ウイグル人のためにも、香港人のためにも声を上げることがなかったのに、今は一枚のスカートのために抗議をしている。彼らにとって、スカートは人権より大事だ」と語った。
抗議デモに反対するデモの主催者は、このスカートが盗作かどうかはファッション業界が判断することだとした上、中国で集会やデモする権利もない彼らが、フランスでスカートが盗作だのと抗議していると苦言を呈した。
ディオール側は盗作疑惑を否定した。
世界ウイグル会議の広報担当者は、諸外国は中国当局がいわゆる中国人団体や留学生を支援・操作するというやり方に警戒すべきだと述べた。
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