中国政府、農村部に若者の採用促す 就職難で 「上山下郷運動」再来か

2022/06/14
更新: 2022/06/14

若者の就職難が深刻化する中国の指導部はこのほど、大卒者に対して経済未発展の農村部で就職、または起業するよう促した。

中国教育省や財務省などが共同声明で、各地方政府に対し「大卒者を村務担当者として積極的に採用する」と示した。農村部で就職し起業した優秀な大卒者を奨励し、大きく取り上げるよう指示した。

中国の都市部と農村部の経済格差が拡大しているため、SNS上では同政策に関して批判の声が上がった。ネットユーザーらは、「農村部での月給は1~2千元(約2~4万円)しかないのに」「党幹部の子女が率先して農村部に就職」などと非難した。また、同政策は毛沢東時代の「上山下郷運動」の再来と指摘する人もいる。

毛沢東は1950年代半ばから、都市部の一部の若い知識人を西部の新疆ウイグル自治区や東北部の黒龍江省の辺地に送り込んだ。60年代半ばに文化大革命が始まってからは、毛沢東が厳しい肉体労働による思想改造を目的に、都市部の中学生や高校生など1600万人を地方の農村部に下放した。

中国教育省によると、今夏に卒業する大学生や専門学校生は前年比167万人増の1076万人に達する。初めて1000万人の大台に乗った。中国メディアは、今年は「史上最も就職が困難な年」としている。

国家統計局によると、4月の都市部の16~24歳の失業率は過去最高水準の18.2%に達した。同時に、4月の都市部全体の失業率は前月比0.3ポイント上昇の6.1%となった。

張哲
張哲