中国学者、台湾侵攻は「露が手本を示した」 心理戦の一環との指摘も

2022/04/06
更新: 2022/04/06

武力による台湾統一を主張する中国の社会学者の1人、李毅氏(61)は1日、北京市内で党幹部を対象とした講演会で、台湾統一を実現するには「ロシア(の作戦)を踏襲すればいい」と発言した。専門家は、李氏の発言は対台心理戦の一環であるとの見解を示した。

李毅氏は「兵力、火力を強め、最も短期間で迅速に台湾統一を遂げる必要があることが、ウクライナ侵攻で証明された」とした。

「迅速に台湾の空軍、海軍、ミサイル部隊、装甲部隊をせん滅すると同時に、台湾の水道、電力、携帯電話通信網(を含むインフラ)を断つ必要がある」

李氏は、ロシアのプーチン大統領は過去8年間にウクライナへの軍事侵攻を巡って、軍事、経済、外交、金融などの各分野で「充分に準備を進めてきた」とし、「軍事作戦を開始する前に何をすべきかをロシアは手本を示してくれた。中国はこの通りに進めればよいだろう」と述べた。

武力による台湾統一を始める前に、中国は「十分な数の大陸間弾道ミサイル、水素爆弾、核爆弾と食糧を生産する必要がある」などと同氏は提案した。

大紀元コメンテーターの王赫氏は、台湾の軍事力はウクライナより高く、現状では米国などの西側諸国が台湾へのサポートを強化していることを指摘し、李氏の構想は「現実的ではない」と否定的な見方を示した。

また、中国軍は過去数十年間、戦闘に参加していないうえに軍改革もまだ完了していないため、「習近平政権が台湾侵攻に踏み切る可能性は低い」と同氏はみている。

王赫氏は、李毅氏が講演の中で、国際社会から強力な制裁を科されたロシアの経済が大打撃を受けており、ロシア軍の進軍ペースが遅く戦況が泥沼化しているなどの事実に触れていないことを指摘した。

「中国指導部は御用学者を通じて、台湾市民に心理戦を仕掛けている可能性がある」

李毅氏は2020年、「14億人のうち新型コロナウイルスで死亡したのはたったの4千人。誰も死んでいないと言っていいレベルだ」と発言し、物議を醸した。

19年、台湾の親中団体「中国平和統一促進会」の招きを受けた李氏は台湾統一について講演しようとして観光ビザで入国する際、台湾当局に強制送還された。

同氏は北京大学の大学院を出て、米ミズーリ大学で修士号、イリノイ州立大学で博士号を取得した。帰国後、中国人民大学などで教鞭をとっている。

(翻訳編集・張哲)