チャールズ・リチャード米戦略軍司令官は1日の下院軍事委員会の公聴会で、中国とロシアの核の脅威に直面している米国は、この2か国との対処能力を同時に備えることが不可欠だと強調した。
「世界中であらゆる手段を用いて、一方的に紛争をエスカレートさせる核能力を持つ2カ国(の脅威)に米国は直面している」と危機感をあらわにした。昨年まで中露両国を同時に抑止する必要性は「重大な懸念レベル」に過ぎなかったが「(その懸念が)今や現実のものとなった」と指摘した。
リチャード氏は昨年4月、上院軍事委員会の公聴会で中露は核開発の近代化や核戦力の増強を急速に進めていると指摘したうえで、米国は歴史上初めて「核保有国であり、戦略的に対等な敵対国でもある2カ国(中露)に同時に向き合っている」と警告。昨年8月には中国の核戦力の拡大は「尋常でない」と表現していた。
中国が昨年8月実施した極超音速兵器の発射実験について、米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は、旧ソ連が米国に先んじて人工衛星「スプートニク」の打ち上げに成功した際の衝撃に近いと発言している。
また、米国防総省が発表した2021年の報告書では、中国共産党が2027年までに最大で700発、2030年までに少なくとも1000発の核弾頭を保有する可能性に言及し、軍備増強の動きに警戒感を示した。
こうしたなか、ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席は2月4日に北京で会談。「双方の戦略的協力に終わりはなく、禁止分野もない」と記した共同声明を発表し両国の連携が強調されている。
リチャード氏は「米国の核の指揮統制は、歴史上最も強靭で防衛力がある」としつつ「変化する脅威に対して戦略を実行するために、米国が必要とする全体的な能力は何か自問自答を続ける必要がある」と強調した。
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