フランス北部のノール県はこのほど、北京と上海で開催予定の展覧会にアンリ・マティスの作品280点を送らないことを決定した。中国とロシアの政治的つながりがウクライナ侵攻を引き起こしたためだとした。
同県議会は2月25日、20世紀を代表する画家アンリ・マティスの作品を中国に貸さないことを発表した。
「この決定は、ロシアのウクライナ侵攻と、北京とモスクワの政治的関係によって引き起こされた地政学的危機を背景にしたものだ」という。
3億ユーロ相当のマティス作品280点は、3月上旬に中国へ向けて出発する予定だった。3月26日~6月26日まで北京で展示された後、7月には上海での展示が予定されていた。
作品は、アンリ・マティスの生まれ故郷である北フランスのノール県にあるル・カトー・カンブレジ、マティス美術館の所蔵品。
同美術館は工事のため閉館している。そのため、北京ユーレンス現代美術センター(UCCA)と提携して、中国で初のマティス展を計画した。中国側は同美術館に30万ユーロ(約3800万円)の資金を提供した。
ノール県のクリスティアン・ポワレ知事は声明で、プーチン氏とロシアのウクライナ侵攻を強く非難した。
「中国に反対しているわけではない」としたうえで、「地政学的状況、中国とロシアのつながりを考えると、リスクを取ることはできない」と知事は説明した。
同県のプレスリリースによると、中国側との文化交流は当面、無期限で中止するとした。
ロシアによる大規模なウクライナ侵攻が開始された翌日、パリのエッフェル塔は、ウクライナ国民への連帯の証として、ウクライナの国旗の色である青と黄色でライトアップされた。
(翻訳編集・李凌)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。