中国遼寧省のネット規制当局、遼寧省サイバーセキュリティ・情報化委員会弁公室(網信弁)は昨年12月、「ネット上の違法行為を取り締まる」とし、省内の複数の違法アダルトサイトやギャンブルサイトなどを閉鎖し、「中国裁判文書網」を含む各サイトに対して、16回も警告したことがわかった。
「中国裁判文書網」は中国の最高人民法院(最高裁)が所管する裁判記録情報サイトである。各地の地裁などで行われた公判記録や裁判の判決文が掲載されている。
一地方部門が最高裁に警告していることについて、中国の人権弁護士で現在米国在住の呉紹平氏は、ネット世論を管理する「網信弁」が現在、大きな権限を持っていることを反映した、と指摘する。
中国の最高裁は2013年、裁判文書網を開設した。22年2月21日まで、1億2900万件の資料が公開され、総閲覧回数は810億回あまり。
だが、昨年6月以降、裁判文書網は裁判記録を取り下げ始めた。香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、昨年6月25日までに、死刑判決を含む約1100万件の判決文が同サイトから削除された。
一部のネットユーザーは、ポータルサイト大手の百度もこのほど、裁判文書網へのアクセスを遮断した、とSNSに投稿した。百度は技術的な問題があったと釈明し、すでに修復作業を行ったとした。
呉紹平氏は、「高官らの汚職行為、共産党統治下の社会的不公平や理不尽さを隠したいからだ」と一連の動きを分析した。ハイテク企業が情報の隠蔽に協力しているという。
呉氏は「腐敗、贈収賄」のキーワードで検索すると、関連訴訟の裁判記録が少なくなっていると述べた。
「中国共産党の幹部や高官らの腐敗問題は非常に深刻だ。当局は国民がこれらの情報を知ることを恐れている。国民の怒りで政権が倒される可能性があるからだ」
いっぽう、中国当局に弾圧されている伝統気功クループ、法輪功学習者をめぐって、裁判文書網では「法輪功」などのキーワードで検索しても、関連情報や判決文は0件となった。
法輪功迫害情報サイト「明慧網」が中国国内で収集した情報では、2021年1年間に少なくとも1184人の学習者が不当判決を受けた。
(翻訳編集・張哲)
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