中国当局、非正規労働者は2億人と発表 「景気悪化で雇用圧力が一段と強まる」

2022/02/17
更新: 2022/02/17

中国国家統計局は今月上旬、昨年12月までに全国の「霊活就業人員(非正規・臨時雇用などフレキシブルな形態の就業者を指し、一時的な失業者や季節工なども含む)」人数が2億人に達したと発表した。専門家などは、いわゆる「霊活就業人員」は中国当局が失業人口を美化するために作った宣伝用語に過ぎないと指摘した。

中国河南省出身の農民工、趙翔さん(仮名)は、「『霊活就業』というのは、失業者が日雇いや短期アルバイトをすることであるに過ぎない。生活上の保障は全くない」と大紀元に語った。趙さんは南部の広東省広州市で働いていたが、このほど会社からリストラされ、地元に戻ったばかりだ。

「霊活就業人員は聞こえはいいが、イコール失業者だ。しかも、霊活就業人員は2億人だけではない。私みたいな農民工や(就職できない)学生、家で『寝そべる』若者を計算に入れていないだろう」

在米経済学者の李恒青氏は、「中国の失業問題があまりにも深刻であるため、実態を隠せなくなった当局は適当に霊活就業人員が2億人であると言ったと考えられる」と指摘した。同氏は、「当局が示した2億人は都市部人口を基にしているかもしれない。6億人余りの農民人口は含まれていない可能性が高い」と推測した。

中国紙「経済日報」によれば、2022年の中国の新規大学卒業者は1076万人に達し、初めて1000万人台を突破。全国高等学校学生情報諮訊および就職指導センターの統計では、20年と21年の大学生の非正規雇用率はいずれも16%を上回った。

李恒青氏と台湾の経済金融専門家、黄世聡氏は中国の雇用環境がますます厳しくなっているとした。黄氏は「外資企業の中国市場撤退だけではなく、不動産産業や教育産業などの大学生に人気の高い業界は巨額の負債問題を抱え、中国当局の取締りの対象となっている」と述べた。

中国メディアは昨年末、景気悪化で30の省・市政府が財政難に陥り、経済都市である上海市、江蘇省、浙江省と広東省の地方政府は公務員への給与を2~3割減らす計画だと報じていた。SNS上では、各地の公務員らは給料が大幅にカットされたことに不満を露わにした。ポータルサイト「網易」の昨年12月の報道では、19年以降、配車アプリ「滴滴出行」や外食のデリバリーサービスで副業を始めた公務員が増えている。

李恒青氏は、「中国経済の成長鈍化で、地方政府も企業も減給や人員整理に生き残りをかけている。今後、失業者がさらに増え、雇用圧力も一段と強まるだろう」と述べた。

中国人民大学が発表した「中国霊活用工(非正規雇用)発展報告(2020)」では、21年には中国企業のうち61.4%の企業が非正規雇用労働者を雇った。20年と比べて5.46%増加。報告書は、中国企業は現在、非正規労働者の採用を拡大しているとの見方を示した。

中国ニュースサイト「晩点(LatePost)」14日付では、配車アプリ「滴滴出行」はオンライン配車サービス、シェアサイクル、貨物輸送の3部門の責任者に人員整理を指示した。従業員全体の約2割がリストラされるという。

(翻訳編集・張哲)