ミャンマー軍事クーデターにより権力を掌握した国軍が国を混乱に陥れた日から正確に1年を経た2月1日、カナダ、英国、米国がミャンマーに対して追加制裁を科したと発表した。
国軍総司令官のミン・アウン・フライン(Min Aung Hlaing)上級大将や他の軍事政権関係者等にすでに制裁を科している米英加が今回協調して制裁対象としたのは、クーデターにより失脚したアウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)元国家顧問の訴追に関わった司法当局者等である。
米国政府は国軍のために海外から兵器を購入した業者、容疑がかけられている武器商人、軍事政権に財政的支援を提供した企業などにも制裁を科している。
2021年2月1日に発生した軍事クーデター以来、国軍はノーベル平和賞受賞暦のあるアウンサンスーチー元国家顧問および同元国家顧問を党首とする国民民主連盟(NLD)の議員や関係者等の拘束を続けている。
国民民主連盟が圧勝した2020年11月の連邦議会総選挙が不正であると軍事政権は主張しているが、独立系の選挙監視団体は選挙には国民の意思が反映されたとの見解を示している。
3か国が協調して制裁を科すことでミャンマー国民を支持する国際社会の姿勢を証明できると強調したアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官は、支配強化を目論む国軍により1500人近くが殺害され、1万人が拘束されている現状を説明した上で、「国軍によるクーデターとその後の暴力行為に対する責任を一段と強く追及する」と述べている。
ミャンマーの国際法違反を調査するために国連人権理事会が設置した独立調査機構(IIMM/Independent Investigative Mechanism for Myanmar)は、過去1年間に発生した残虐行為に基づく訴追を踏まえて書類の調整に入ったと発表している。 ジュネーブに本拠を置く同独立調査機構のニコラス・クムジアン(Nicholas Koumjian)主任は声明を通して、「犯罪を犯そうとしている者は、深刻な国際犯罪には時効がないことを肝に銘じて置く必要がある」と警告している。
今回米国財務省が制裁対象に加えると発表した個人7人と2団体の中には、ティーダウー(Thida Oo)司法長官が含まれる。米国財務省の発表によると、同司法長官はアウンサンスーチー元国家顧問について政治的動機に基づく罪状を作成した。
アウンサンスーチー元国家顧問は10件以上の罪に問われており、これまでに合わせて禁錮6年の有罪判決が言い渡されているが、元国家顧問はすべての罪状を否定している。 米国財務省はまた、アウンサンスーチー元国家顧問と国民民主連盟の幹部等の訴追に深く関与したミャンマー最高裁判所の最高裁判事と汚職防止委員会の委員長も制裁対象とした。
米国財務省のブラックリストに登録された個人は米国の資産が凍結され、一般的に米国市民や米国企業との取引が禁止される。 カナダは同2人と前述の司法長官を含む合計3人の司法当局者を、そして英国は司法長官と汚職防止委員会の委員長だけでなく、軍事政権にが任命した選挙委員会委員長を制裁リストに追加すると発表した。
米国はまた、海外から武器を購入した国軍の武器調達業者、武器商人のテイザー(Tay Za)と成人の息子2人、およびKTサービス&ロジスティクス(KT Services & Logistics)と同社のジョナサン・ミョ・キョウ・タウン(Jonathan Myo Kyaw Thaung)最高経営責任者(CEO)に制裁を科している。
米国財務省によると、年間3億円相当(300万米ドル)で国軍所有会社からヤンゴン港を賃貸している同社はコングロマリットのKTグループの傘下にある。
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