「世界に見捨てられた」女性たち 3年間に約5万人売買 江蘇省徐州周辺

2022/02/03
更新: 2022/02/03

でつながれながら暮らす江蘇省徐州市豊県の女性の動画が中国のSNS上に投稿され、波紋を呼んだ。中国で横行する女性の人身売買の問題が浮き彫りになった。

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同じ村に別の女性も

元調査記者の鄧飛さんはSNS微博に2月1日、この村に同じ境遇の女性がもう1人いると、動画をつけて投稿した。この女性も日頃から鎖で繋がれており「虐待ですでに歩行できなくなった。20数年間、着衣もなく毛布に包まって地べたを這いながら生活している」という。

村の住民の話によると、女性が村に来た時「お金の計算ができていた」。何度も逃走を図ったため、暴力をふるわれ「脳障害をきたした」。

2人の女性は同時期に村にやって来た。

2人の女性の境遇がメディアに大きく取り上げられ、女性の悲惨な姿に多くの人が衝撃を受けた。世論の批判を受け、地元政府は2人を精神病院に送り、治療を受けさせた。

村の既婚女性の三分の二が人身売買の被害者

事件をきっかけに、1989年に出版された「古くからの罪悪ー女性の人身売買に関する調査報告」は注目を集めた。同報告書は政府の発表資料を引用して、1986~89年に約4万8千人の女性が徐州市周辺の6県に売られた、と述べた。最年少は13歳。

徐州市銅山縣伊莊鄉牛樓村はその間、200人を超える人口増加があったが、ほとんどは雲南、貴州、四川省から誘拐された女性で、その人数は村の既婚女性の三分の二を占めていたという。

地元政府は人身売買の事件を長年放置してきたという。

調査報告書によると、人身売買のグループにさらわれた女性が「買い手」の家に送られる途中、警官を見かけ助けを求めた。警官は人身売買の犯人を追い払い、女性を自身のいとこの家に連れて行った。女性はそのいとこにレイプされた後に売られたという。

中国最高検察院の機関紙「検察日報」もかつて、女性の人身売買の事件を取り上げた。それによると、徐州市銅山區單集鎮姜集村に江蘇省北部で最大規模の人身売買市場がある。100世帯が暮らす村には、2世帯を除けば、どの家庭にも人身売買で生計を立てる人がいた。

とくに貧困地域では人身売買が横行している。調査報告書は、山東省と河南省の農村部では女性7人が市場で公然と取引されていた、と述べた。

当局、動画を削除

「この世界に見捨てられた」。冒頭の女性は解放された後、こう話したという。村に来た当時、英語も話せる聡明な女性だったが、たびたび反抗していたため歯を抜かれ、今は2本しか残っていない。

国威発揚を狙う北京冬季五輪に冷や水を浴びせた女性の動画は現在、中国のインターネット上から削除された。

(翻訳編集・李沐恩)

 

 

 

 

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