中国の「ゼロコロナ政策」世界の供給網に影響

2022/01/28
更新: 2022/01/28

中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染を封じ込める中国の「ゼロコロナ政策」が、世界の経済活動に悪影響を与えている。生産停止に追い込まれる工場が増え、供給網の混乱が生じている。

「世界の工場」と呼ばれる中国の2021年の貨物貿易総額は39.1兆元(6兆1850億ドル)で、世界貿易の輸出入の22%以上にのぼる。世界最大の統計市場調査プラットフォーム「スタティスタ」によると、2019年の世界の製造業生産高の28.7%を中国が占めているという。

工場閉鎖

人口約1300万人の中国北西部最大の都市西安は、中共ウイルスの感染拡大を受け昨年12月から今年1月に数週間にわたってロックダウンを実施。この影響で同市に進出していた韓国サムスンや米マイクロン・テクノロジーの工場の操業に影響を及ぼした。スマートフォンやパソコン、自動車部品などに使われる半導体の製造に関わる両社は、世界的な半導体不足の深刻化につながると警告を発した。

時事通信が引用する韓国メディアの報道によれば、2014年に稼働を始めたサムスンの西安工場は同社が手掛けるNAND型フラッシュメモリーの4割を生産する。これは、世界生産数の約15%に相当する。

まもなく冬季五輪が開幕する北京に隣接する天津市も、西安に続きロックダウンを実施。1月中旬には中共ウイルスのオミクロン変異株の感染拡大抑制策として、1400万人の市民を対象に一斉検査を開始した。

これによりトヨタ自動車は天津市の合弁工場を10日から約2週間、操業を停止。独大手フォルクス・ワーゲン(VW)も同市の工場の操業停止を余儀なくされた。

交通手段

「ゼロコロナ政策」は陸・海・空の物流を途絶させ、輸送コストを押し上げた。港湾は開放されていても、移動制限や輸送の人員不足、越境検疫といった規制によって遅延が生じている。

米ニュース通信社CNBCはサプライチェーン・コンサルタント会社サプライ・ウィズダムのアテュール・バシスタ会長のコメントを引用し、航空貨物輸送の価格が50%上昇したケースもあると報じた。アジアから米国西海岸への海上輸送の料金は4%上昇したという。

中国共産党は27日、浙江省や北京、上海、天津、黒竜江、河北、河南、新疆で新たに中共ウイルスの感染が確認されたと発表。団地封鎖を実施している。

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米国をはじめ国際関係担当。