米メモリーチップ大手のマイクロン・テクノロジー(以下、マイクロン)は26日発表の声明で、上海支社のDRAM設計業務を年内に終了することを明らかにした。業界の消息筋によると、同部門の中国人エンジニアの一部は、米国やインド支社に配属する。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが報じた。
声明は、同業務終了の理由を明らかにしていないが、他の業務に変更はないとした。
マイクロンの現役社員は匿名を条件に同紙の取材に応じた。それによると、先月、上海支社の一部の社員や管理職が中国の大手テクノロジー企業に立て続けに引き抜かれたことへの対策だという。同DRAM部門に150人の中国人エンジニアが在籍している。
マイクロンはグループ全体で約4万3000人の従業員を抱えており、中国のほか、米国、日本、台湾、イタリア、インド、ドイツに研究開発拠点を設けている。
DRAMはDynamic Random Access Memoryの略で、コンピュータによく使われているチップのことである。市場調査会社によると、DRAMの市場シェアでは、サムスンが41.5%でトップ、SKハイニックスが29.3%で2位、マイクロンは23.4%で3位、同上位3社合計で94.2%の市場を占めている。日本の代表的メーカーはキオクシア株式会社(旧東芝メモリ)、2017年の市場シェアは世界8位だった。
半導体の供給は米国を含む外国メーカーに依存する中国。当局は以前からマイクロンに関心を示した。2015年、中国の国有半導体メーカー「清華紫光集団」はマイクロンに230億米ドル(約2兆6220億円)の巨額買収案を提示したが断られた。
半導体コンサルタント会社ICWise上海支社のアナリスト王立夫氏は同紙に対して、米国のメモリーチップ設計会社の多くは、設計部門を中国以外に置く傾向があり、マイクロンもその方向に動いていると述べた。
(翻訳編集・叶子静)
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