中国投資会社、米企業から技術移転で提訴される 軍事転用の恐れ

2022/01/25
更新: 2022/01/25

中国上海にある国有投資会社が米国企業の重要な技術を不当に中国に移転したとして、米企業の株主から提訴された。米連邦調査局(FBI)と対米外国投資委員会(CFIUS)が調査に乗り出した。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙18日付の報道によると、FBIとCFIUSが、米カリフォルニア州のICON Aircraft(以下、ICON社)に投資した中国国有企業の「上海浦東科学技術投資(以下、上海浦科投資)」を調べている。

ICON社の創業者で、元最高経営責任(CEO)のカーク・ホーキンス氏と株主のフィル・コンディット氏(元ボーイング社CEO)は昨年6月1日、上海浦科投資がICON社の航空機設計・製造・高度な炭素繊維構造など主要技術を中国に供与したとして、訴訟を起こした。原告側はこれらの技術は軍事に転用できると主張している。

ICON社製のICON A5は折りたたみ式の主翼を備える水陸両用の軽飛行機である。原告側はCFIUSに提出した陳述書で、ICON A5は軍事用ドローンに改造することが可能で、かつて米国防総省に売却する計画があったと報告した。

原告が提出した覚書によると、上海浦科投資が2017年にICON社の47%の株式を取得し単独筆頭株主となった。経営陣の人事を見直すなど経営に深く関わり、21年4月にICON社の知的財産のライセンスを取得する手続きを開始した。それにより、ICON社の技術を制限なく中国に移転する権限を得た。

上海浦科投資が米国側に提出した法律文書は、自社の投資によりICON社は破綻から免れたと主張し、ICON社の技術を中国企業に譲渡したのは、資金を回収するためだと釈明した。

米国在住の時事評論家・李林一氏は、「この事件は、中国政府が米国企業の知的財産を不正に入手する典型的なパターンであり、その手法は至ってシンプルで、すなわち投資だ」と分析した。

李氏は、中国万向グループの米国企業買収の例を挙げて説明した。万向グループは、2012年末に2億5700万米ドル(約293億円)で米リチウム最大手のA123システムズ社の全株式を取得し、2014年には1億4920万米ドル(約170億円)を投じて米電気自動車メーカー、フィスカーを完全子会社にした。

李氏は「このケースでは技術移転があったかどうかは不明だが、2社を買収した後、中国本土の電気自動車技術が一気に躍進したのは確かだ」と話した。

いっぽう、CFIUSは調査の結果に基づいて、国家安全上の理由から買収の取り消しを政府に提言することが可能だ。

(翻訳編集・叶子静)