日立も東芝も撤退した…英、原発事業活性化促す 下院で資金調達法案を承認 

2022/01/14
更新: 2022/01/14

英国議会下院は11日、新規の大型原子力発電所の資金調達を支援する法案「Nuclear Energy Financing Bill(仮邦題:原子力資金調達法案)」を承認した。英国は今世紀半ばまでに二酸化炭素排出量の実質ゼロ目標を掲げ、達成には原子力発電所が不可欠と見ている。法案は老朽化した発電システムにとって必要性の高い補強策となる見通しだ。

ビジネス・エネルギー産業戦略相のクワーテン氏は同日、従来の融資スキームでは資金調達が困難なことから海外の原子力開発事業者が手を引き、英国の原子力産業の後退を招いたと下院で述べた。同氏はさらに、日立のウィルファ原発や東芝のムーアサイド原発の撤退例を挙げ、早急に資金調達の代替案を示す必要があるとした。

高額な原発建設は工費増大と工期遅れのリスク負担により海外事業者の参加が難しいとされてきた。この問題に対処する同法案は、規制資産ベース(RAB)モデルと呼ばれる資金調達手法だ。建設リスクを軽減することで、民間投資を促すという。過去にはロンドン・ヒースロー空港や水道事業も採用した。

東芝は2018年11月に、日立は2020年9月に英国の原子力発電所建設プロジェクトからの撤退を発表している。日立は中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染拡大の影響などで投資環境が悪化したことを理由に挙げた。新法成立により投資環境が改善すれば2社の今後の英国事業に影響する可能性もある。

英国の原子力発電所の新設計画に競合するのは中国やフランスなどだ。しかし、英紙フィナンシャル・タイムズは昨年7月、中国国有企業の排除を英政府は検討していると報じた。香港や新疆ウイグル自治区などの人権問題や両国の関係悪化が背景にあるとされる。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。