米中合意、中国の対米輸入目標達成は困難=米シンクタンク調査

2022/01/13
更新: 2022/01/13

米国のシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(PIIE)が12月23日に発表した米中貿易の調査結果で、中国側の貿易交渉をめぐる「第1段階の合意」の目標達成は難しいことがわかった。米中の貿易摩擦が続くなか、貿易協定により両国間の緊張が緩和するとの期待があったが、協定は形骸化する事態となりそうだ。

米中両政府が2020年1月に調印してした同貿易協定は貿易拡大など7項目で構成され、中国は米国産の農産品や工業品などの輸入を2年間で計2000億ドル(約22兆円)以上増やすと約束した。だが、調査結果によると、2020年1月~2021年11月までの中国の対米総輸入額は2219億ドルと目標額(3564億ドル)の62%にとどまった。

同期間の総輸入額を部門別でみると、農産品は563億ドル(目標額の76%)、鉱業製品は1370億ドル(同62%)、エネルギーは286億ドル(同47%)だった。サービスについては、2020年の米国の対中サービス輸出額は404億ドルで2019年比31.9%減となり中国政府の約束とは程遠い水準となった。バイデン政権高官は「中国は米労働者、企業、農家の要望を満たしていない」と批判する。

いっぽう、対米輸出は急増した。ブルームバーグによると、2021年1~11月で中国の対米貿易黒字は3580億ドルと、年間ベースで過去最大となる見込みだという。

米通商代表部(USTR)のタイ代表は10月、「中国は国家主導の経済制度を強化している」と批判し、国有企業を優遇する中国の産業政策に対して強い懸念を伝える意向を示した。

トランプ前政権による関税措置と貿易協定を継続するバイデン政権は、知的財産権の侵害など不公正な慣行をやめるとともに、両政府が結んだ「第1段階の合意」を順守するよう中国政府に求めてきた。しかし、政府補助金に関する対応をめぐる「第2段階」の協議は進んでいない。

協定は中国に知的財産保護や金融市場の開放を要求するほか、合意内容の履行のために監視制度を盛り込み「実行できていなければ適切な対抗措置を執る」と明記した。

中国は2020年には15カ国が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)に署名し、昨年9月には環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)の加入を申請した。それぞれの協定に米国は参加しておらず、米国不在の間隙を縫って影響力拡大を図っている。

米国をはじめ国際関係担当。