豪州政府の最新統計によると、同国の今年度の資源・エネルギー輸出(2021年7月~22年6月)の純収入は3790億豪ドル(約31兆2974億円)に達する見通しだ。昨年度の過去最高記録である3100億豪ドルを大幅に上回る勢いだ。
米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、専門家はこの好調な数値は、豪州に経済的圧力を強めた中国当局にとって目をそらしたい事実であると指摘した。
中国当局は、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の発生源に関する独立調査を求める豪モリソン政権に報復するため、豪州産の石炭、鉄鉱石、ワイン、牛肉などの輸入禁止を開始した。中国は、豪州の資源・エネルギー製品の最大輸入国である。この報復措置により、豪経済への打撃が懸念されていた。
豪州の輸出額拡大の主因は、世界エネルギーの逼迫によるコモディティ価格の高騰と豪ドル安にある。豪州は、中国の制裁による損失を補うため、直ちに新しい市場を開拓したことも功を奏した。
石炭火力発電に使う一般炭の収益は今年度350億豪ドル(約2兆8954億円)と倍増し、冶金用石炭の収益は昨年度の230億豪ドル(約1兆9027億円)から500億豪ドル(約4兆1363億円)に拡大すると予想される。
今年に入ってから中国国内では大規模な停電が発生したが、豪州産石炭の輸入を再開しないことで面目を保った。いっぽう、情報筋はVOAに対して、中国当局は電力不足を解消するために、仲介業者を通じて豪州産石炭を密かに購入したと話した。購入価格は直接輸入の2倍の値段になっているという。
米国のバイデン大統領は11月、中国の習近平国家主席との電話会談で、豪州に対する貿易制裁と経済報復措置に言及し、「これらの行為は逆効果である」と述べた。
(翻訳編集・張哲)
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