最近、2人の在日中国人外交官が、日本社会に対して2つの対照的な態度を示したことで注目を集めている。
国際社会では2022年北京冬季オリンピックをボイコットする動きが高まる中、中国の孔鉉佑駐日中国大使は、日本で積極的に親善活動を行っている。11月29日、在日中国大使館は、福田康夫元首相、河野洋平元衆議院議長、山下泰裕日本オリンピック委員会会長などの要人を招き、北京冬季オリンピックをテーマにした1週間の展示会を開催した。
9月下旬に中国当局が今回のオリンピックで外国人観客にチケットを販売しないことを発表した後、日本選手のファンの一部がソーシャルメディアを通じて中国人観客に、現地での日本選手の応援を呼びかけた。これを受けて、在日中国大使館は同日、公式ツイッターで、中国人観客を代表して親善を表明し、前向きな約束をした。
一方、中国駐大阪総領事の薛剣氏は、戦狼外交官としての好戦的な姿勢を示していた。10月26日、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが香港国家安全維持法(国安法)を理由に香港からの撤退を発表した後、同氏は「害虫駆除!!!快適性最高の出来事がまた一つ」と、クラッカーと笑顔の絵文字を添えてツイートした。日本のネットユーザーからの批判の嵐に対し、「コメントありがとう」と 余裕さえ見せた。
今年8月18日、薛総領事は、米軍機がアフガニスタンで2001年に爆弾を落とし、2021年に人間を落とす様子を描いた風刺漫画を投稿し、米軍のアフガニスタン撤退を嘲笑した。外交官として人命を軽視する姿勢は、日本のネットユーザーから強い反発を受けた。
2人の中国外交官の対照的な動きに対し、法政大学法学部の福田円教授は米VOA(ボイス・オブ・アメリカ)に対し、孔大使は日本の対中観を改善しようとしているが、その内容は斬新さや面白みに欠けていると効果がないことを指摘した。「ほとんどの日本人は彼のツイッターに気づいていない。中国のプロパガンダは、日本人にはほとんど受け入れられないだろう」との見解を示した。
孔大使と薛総領事のツイッターでのフォロワー数はそれぞれ4千人と1万人。5万人のフォロワーを持つ東ヨーロッパの小国ジョージアの駐日大使と比べて、2人のSNS上での影響力はかなり限定的だという。
福田氏によると、過激な言論で衆目を集める薛氏は就任前には攻撃的外交姿勢を見せていなかった。中国の外交官は個人の意見を述べる余地があまりなく、中央政府の指示に従わなければならないからだとした。現在の中国の外交路線は戦狼外交が主流となっている。
福田氏は、薛氏による過激な投稿は「在日中国人、留学生のなかにいる民族主義者、親中の日本人を意識したものだ」と推測した。
東洋学園大学教授で国際政治学者の櫻田淳氏も、VOAのインタビューで、中国外交官のプロパガンダが日本社会に与える影響は限定的だと述べている。2人の中国外交官のツイートには、中国政府の「政治的意図」が明確に反映されているとし、いかなる「明確な意図をもつ言動」も日本では歓迎されないと指摘した。
2人のスタイルの違いがもたらした社会的な影響について、櫻田氏は、両者に対する日本社会の反応は、対中認識を変えるほど強くはないと考えている。
同氏によれば、中国女子プロテニスの彭帅選手が前副首相から性的関係を強要されたという最近のニュースは、中国の政治体制の「傲慢さ」を日本の人々に改めて示した。権力者がやりたい放題というこの傲慢さは、日本社会で最も反感を買うものだと述べた。日本人の9割以上が中国にマイナスの印象を持っており、数回のツイートでその印象が変わることはないだろうという。
東京に拠点を置くシンクタンク「言論NPO」と中国国際出版社が10月20日に発表した世論調査によると、中国の印象を「良くない」とする日本人は90.9%で、前年比で1.2ポイント増加した。
(翻訳編集・王君宜)
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