BLMデモ参加者3人を死傷 10代被告に無罪判決 事件めぐりフェイクニュースも

2021/11/22
更新: 2021/11/22

米ウィスコンシン州で昨夏、ブラック・ライブズ・マター(BLM)関連のデモ参加者3人を銃で撃って死傷させたとして、殺人などの罪に問われた少年の裁判で、地元の陪審団は19日、全ての罪状について無罪評決を言い渡した。少年は正当防衛を主張していた。判決後、震えながら弁護士と抱き合う姿がメディアで報じられた。

事件は昨年8月25日、同ウィスコンシン州ケノーシャで発生した。同州では、黒人男性が警察に射殺される事件があり、抗議デモが起きていた。当時17歳だったカイル・リッテンハウス被告は、アンティファやBLMの暴徒からケノーシャを守るため、武装して路上にたったという。

リッテンハウス被告は、デモ参加者3人に発砲し2人が死亡した。公判で上映されたビデオ映像や証人の証言によると、一人目の男性ジョセフ・ローゼンバウム氏は、興奮気味にリッテンハウス被告に向かって突進しきてきた。目撃者の証言によると、ローゼンバウム氏は被告のライフルに手をかけていたという。そこで被告は発砲した。

その後警察に助けを求めようと走り出したところ、アンソニー・フーバー氏やガイジ・グロスクロイツ氏を含む数人に襲われた。スケートボードで殴られたり拳銃を向けられたりしたため、身を守るために発砲したと証言。ローゼンバウム氏とフーバー氏は死亡し、グロスクロイツ氏は右上腕部を負傷した。

弁護側は、3回の銃撃はいずれも正当防衛だったと主張。検察側は、リッテンハウスは武器の取り扱いに過失と無謀さがあるとして、終身刑もあり得る第1級殺人など5つの罪で起訴した。

無罪判決

ウィスコンシン州は、500人規模の州兵を動員し、判決に備えた。ケノーシャ郡裁判所の外には群衆が集まり、「白人至上主義はいらない」と叫ぶBLMの声と「自衛は犯罪ではない」とリッテンハウス被告の無罪を訴える声が行き交った。

19日午後、ケノーシャ郡裁判所で陪審員長が評決を読み上げ、全ての罪状について無罪評決を言い渡した。陪審員は、女性7名と男性5名から構成されていた。

リッテンハウス被告の弁護団を率いたリチャーズ氏は評決後、記者団に対し審議が3日以上続いたことで神経質になったと振り返りつつも「評決にはとても満足している。陪審員が時間をかけて、努力をしてくれたことに感謝する」と付け加えた。

今回の判決を受けて米トランプ前大統領は、「判決に満足している。あの時正当防衛をしていなければ、彼は死んでいただろう」とフォックスニュースにコメントした。また「率直に(検察官は)この訴訟を起こすべきではなかった。政治的な事件だった」とも付け加えた。

バイデン米大統領は、この評決に対して「私を含め、多くの米国人が怒りと不安を感じるだろう」と述べ、「すべての米国人が法の下で公正さと尊厳をもって平等に扱われるよう、全力を尽くす」と声明を発表した。

カイル・リッテンハウスの母親、ウェンディ・リッテンハウス氏。11月19日、息子の無罪が確定した瞬間(Sean Krajacic/Pool via Getty Images)

フェイクニュースの拡散

「リッテンハウスは3人の黒人男性を射殺した」「銃を持って州境を越えて移動した」「AK-47を持っていた」。リッテンハウス被告について、フェイスブックやツイッターなどのSNSやテレビでフェイクニュースが拡散した。リッテンハウス被告はAR-15で白人男性に発砲し、銃はイリノイ州在住の家から友人が持ってきたものだった。

デポー大学のジェフリー・マッコール教授は「リッテンハウス被告の事件がケノーシャで起こるやいなや、既成メディアは、自分たちが好む特殊なシナリオに沿った物語を作った」と大紀元の取材に答えた。「今となっては、これらのメディアはそのストーリーに傾倒して、過去の誤りを訂正したり、正確な情報を報道することができなくなっている」。

大紀元はCBS、CNNやABCにフェイクニュースについてコメントを求めたが、返答は得られなかった。

米国をはじめ国際関係担当。