北朝鮮は空腹の市民に2025年まで「ベルトを締める」ように指示した

2021/11/18
更新: 2021/11/18

北朝鮮内の情報筋によると、北朝鮮は2020年に新型コロナウイルスを防ぐために中国との国境を閉鎖したため深刻な食糧不足にあえいでおり、2025年に国境を再度開くまでベルトを締めるよう市民に伝えている。

政府が市民に困難はあと何年も続くであろうと伝えた後、市民は2025年までどころか来るべき冬を越えることができないかもしれないと苦情を申し立てた。 

中国の丹東市の対岸にある北朝鮮の北西の国境の町である新義州市の住民は、「2週間前、食料緊急事態は2025年まで続くと人民班の会合で伝えられました。当局は2025年までに北朝鮮と中国の間の税関を再開する可能性は非常に低いと強調しました」と述べている。 

自身の安全のために匿名を要求した情報提供者は、「現在の食糧事情は明らかに緊急事態であり、人々は不足に苦しんでいます。当局が2025年まで食料の節約と消費量を減らす必要があると伝えると、彼らは大きな絶望を感じる以外に何もできませんでした」と述べている。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止のために中韓との国境を2020年1月に閉鎖して中国との貿易が停止された人口2500万人の北朝鮮では、慢性的な食糧不足が発生し多数の餓死者が出ている。 

これは北朝鮮経済に壊滅的な打撃を与え、国内の食料生産と需要のギャップをカバーしてきた中国からの輸入が途絶えたことで食料価格が急上昇した。 国際連合食糧農業機関(FAO)は最近の報告書で、北朝鮮が2021年に約2ヵ月分の消費量に相当する約86万トンの食料が不足すると予測している。国際連合世界食糧計画は北朝鮮の人口の約40%が栄養不足であると推定している。 

最近の国連の自発的国家レビューで北朝鮮は食料の自給率やその他の持続可能な開発目標を達成できないのは国際制裁や自然災害などが要因であると非難した。 

国連と米国の制裁は北朝鮮による核・ミサイル計画のために使われる現金や資源を生み出す可能性のある特定の品目の貿易を制限しているが、国境の閉鎖はすべての貿易を制限しており、多くの北朝鮮人が次の食事をとることさえ困難になっている。

 新義州市の住民は、「会合で食事の量を減らし、これまで以上にベルトを締めるべきだと述べた当局への不信感や恨みは住民の間で蔓延しています」と述べた。 

情報提供者は、「一部の住民は、現在の状況が非常に深刻であるため、来るべき冬を乗り切れるかどうかさえわからないと言っています。2025年まで苦難に耐えるように私たちに言い聞かせることは、餓死するように言い聞かせることと同じだと言っています」と述べている。

 北東国境にある人口15万人の会寧市の住民に同じ暗いメッセージが発せられたとき、当局は国がパンデミックをうまく管理していると解釈しようとした。 

匿名を要求した別の情報提供者は、「当局は他国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況が非常に悪いと会合で言及しました。 「しかし住民は当局の説明を信用しておらず、住民たちは『どんなに困難な状況であっても、私たち以上に困難を経験している人々が地球上のどこにいるのでしょうか?』と自問しています」と述べている。

 国民は食糧危機の解決のために何もしなかった政権を批判し、飢餓で死にかけても国境が閉ざされたままであることを心配している。別の情報提供者は、「政府が食料を節約することを推奨したのは、金正恩最高指導者が食料事情の深刻さを認識していないためではないかという批判が出ています。 

住民はすでに生きていくことに苦労しており、ベルトは締められるだけ締めています。住民はベルトを今締めている以上に締めるように命令している当局の非現実的な要求に憤慨しています」と述べている。 

北朝鮮政権は2021年初頭から自立していると言う主張を推し進めている。1月に開催された朝鮮労働党大会での金最高指導者の重要なメッセージのひとつは、輸入への依存を減らし自分たちで問題を解決することだった。

 当局は4月に市民に対し1994年から98年にかけて起きた数万人、人によっては国民の10%もの人、が餓死した飢饉の朝鮮語名である「苦難の行軍」よりも悪い経済状況に備えるように伝えた。 

党の中央委員会は3年間続く可能性のある食糧不足を見越して市民に食糧自給農業の開始を命じた。情報提供者は当局が自身の責任を回避し、問題を解決するために何もせず、国民に自分たちの食い扶持を生産するように伝えていたので国民は憤っていると述べている。

Indo-Pacific Defence Forum