中国各地で最近、工事費を支払わない代わりに、建設会社に物件を割安で譲る不動産開発業者が増えている。業界関係者は、不動産開発会社の資金繰りが苦しくなっているためだと指摘する。
中国経済ニュースサイト「第一財経」13日付の報道によると、広州、アモイ、成都、南京などの一・二線都市でこの現象は急増している。 広州市では、建設会社に譲られた十数棟の分譲マンションは数十万~百万元(1元=約18円)を値引きして販売されている。このような物件は中国では、「工抵房」と呼ばれている。
今年10月、アモイ市海滄区のとある分譲マンションでは、2.5万元(約45万円)/平方メートルの価格で30戸が売りに出された。同物件の一般販売価格は3.3万元(約60万円)/平方メートル、約25%の割引になる。
不動産業界の専門家によると、この現象が増えた背景には、開発業者の資金繰りが厳しいという実情がある。中国政府は不動産融資を規制する「3つのレッドライン」を打ち出しており、不動産各社の資金調達が困難に直面している。3つのレッドラインとは、不動産開発企業の総負債、純負債、流動性に関する基準のことである。
不動産市場調査会社「58安居客房産研究院」の研究員、張波氏は「資金難に陥っている不動産開発企業は、約束した期日まで建設会社に工事費を支払えないので、物件を担保に入れている。ただ、実際問題は、建設会社がこれらの物件をもらっても困るだけだということだ。建設会社も物件を早く売って、資金を取り戻したいのだ」と第一財経に話した。
また、張氏によると、一部の不動産企業は、物件を速く販売し資金を回収したいために、普通の物件を「工抵房」と称して安く売っている。「不動産企業は、この方法で販売すれば、同じマンションの他の部屋を一般の物件として購入した人からの不満を避けられると思っている」
いっぽう、中国政府は中小都市の不動産業界の崩壊を防ぐため、「値引き禁止令」を打ち出している。しかし、この手法で、不動産開発会社は実質上、値引き販売を行っている。
(翻訳編集・叶子静)
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