中国企業、カナダの資源会社2社を買収 専門家から懸念の声

2021/10/28
更新: 2021/10/28

中国当局は世界覇権の実現のために、重要産業を支える鉱物資源の確保戦略として、長年、カナダ鉱山開発会社の買収を繰り返してきた。

 ここ2カ月間、中国企業は相次いで、カナダの鉱業大手2社を買収した。一部の専門家は、カナダは国益を守るために対策を講じ、世界に脅威をもたらす中国当局の鉱物資源戦略にブレーキをかけるべきだと同国政府に助言した。

ハイテク時代では、携帯電話、電気自動車、ソーラーパネル、さらに飛行機やミサイルの製造までが、レアアース、銅、ニッケル、リチウムなどの各種の鉱物資源に依存している。中国当局は以前から、資源国であるカナダに狙いをつけてきた。

9月、中国の車載電池メーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)とリチウム原材料の供給会社「赣锋锂业」は、カナダのリチウム資源開発会社ミレニアル・リチウム(Millennial Lithium)の買収を巡って、競い合った。結果、CATLが3億7700万カナダドル(約346億円)で買収した。

中国資源大手の紫金鉱業は10月、公開価格に36%を上乗せして、9億6000万カナダドル(約882億円)で、カナダのネオ・リチウム(Neo Lithium)社を傘下に収めた。

中国側の相次ぐ買収を巡って、カナダのトーンガット・メタルズ(Torngat Metals)社のディルク・ナウマン社長は、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に応じた。

ナウマン氏は、「自国の生産能力不足と世界市場での技術製品の需要急増を背景に、中国が原材料の確保に躍起になっている」と指摘し、「カナダ企業が中国に次々と買収されるのは決して良い兆候ではなく、カナダやオーストラリアなどの資源大国は警戒すべきだ」と警告した。

カナダのシンクタンク、マクドナルド・ローリエ研究所の資源問題専門家、ヘザー・エクスナー・ピロト(Heather Exner-Pirot)氏は昨年、カナダと米国が主要鉱物資源の協力協定を締結したことを高く評価した。

「北米の同盟国との連携をより緊密にすれば、中国やアフリカへの依存を低減できる。米国市場は規模が大きくて、しかも安定しているため、カナダにとってリスクは少ない。今までに両国はエネルギー分野で協力してきたが、今後は鉱業分野でも提携すべきだ」と提案した。

専門家は、カナダ政府は「カナダ投資法」などの関連法案を改正し、外国企業による買収のハードルを高めなければならないと呼びかけた。

(翻訳編集・叶静)