オランダ国防省はデータの安全性に深刻な懸念があるとして、警察による中国ドローン大手、大疆創新科技(DJI)の製品の使用を中止すると発表した。同国メディア、NLタイムズが9月30日伝えた。
同国警察は100機以上の中国製ドローン(小型無人機)を保有している。今年に入ってから、デモなど治安の監視などに1000回以上、使用されている。
国防省は声明で「データは安全に保護されておらず、中国のサーバーに保存されている。所有者は中国政府からデータの提供を求められることもある」と使用中止の理由を説明した。
中国製ドローンのセキュリティ問題
ここ数年、複数の国際的なサイバーセキュリティ研究者らは、DJIのソフトウェアにデータ漏洩のためのバックドアを発見している。
セキュリティ企業「Check Point」の研究者らは2018年、DJIの民生用ドローンのユーザーアカウントにパスワードがなくてもログインできるという脆弱性を発見した。ハッカーがドローンのライブ映像を見たり、過去の録画にアクセスしたりすることが可能であることもわかった。
フランスのセキュリティ企業「Synacktiv」は昨年、ドローンを制御するアプリが大量のデータを収集して中国のサーバーに送信していることを突き止めた。ユーザーの同意なしに、他のソフトウェアをインストールすることも可能だという。
オランダ警察は保有するDJIのドローンを「機密性の高い任務」には使用していないと主張したものの、「データが中国政府に盗まれる可能性がある」ことは認識していたという。
中国製ドローン排除の動き
中国は2017年6月、すべての個人と企業に対して、当局への情報提供を義務付ける「国家情報法」を制定した。
欧米諸国はデータの流出を懸念して、中国製ドローンを排除する動きに出ている。
米国ではトランプ前大統領は今年1月、全政府機関に対し、中国製ドローンの排除を優先的に進め、安全保障上のリスクを検証するよう指示する大統領令に署名した。
米商務省はDJIを含む中国企業を事実上の禁輸リストである「エンティティー・リスト」に追加している。
日本政府も2020年9月14日、政府機関がドローンを新規に調達する際には、事前に計画書を提出して審査を受けることを義務付けた。
(翻訳編集・李凌)
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