米メリック・ガーランド司法長官は10月4日、教育委員会、教師やその他の職員に対する保護者の暴力、脅迫、嫌がらせなどの脅威に対処する取り組みを発表した。
全米教育委員会協議会は先月、バイデン政権に対し、マスクの義務化や批判的人種理論の教育に反対する保護者が学校職員を脅迫していると指摘し、「特別な措置」を講じるよう求めた。
これを受けて、ガーランド氏は10月4日、米連邦検事、米連邦捜査局(FBI)長官や米国検事局長などに書簡を送付。今後30日以内にFBIと米連邦検事に「学校の管理者、理事、教師、職員に対する脅威に対処するための戦略の議論」をするため、連邦、州、地方の指導者との会合を開くよう指示した。
司法省によると、違反した親を起訴するための連邦政府のリソースをどのように活用するか、また連邦法に違反していない場合の起訴について州機関にどのように助言するかなどを決定するタスクフォースが設置される。また同省は、学校の職員に対して、保護者からの脅迫行為を報告し、捜査や訴追に役立つ証拠を保全する方法についての研修を行う予定だ。
ガーランド氏は「ここ数カ月の間に、わが国の公立学校を運営するという重要な仕事に携わっている学校管理者、理事、教師、職員に対する嫌がらせ、脅迫、暴力などの脅威が急増している」と指摘。「政策に関する議論は憲法で保護されているが、その保護は個人の見解に基づいて他者を脅迫する行為には適用されない」と付け加えた。
全米の教育委員会は、文化、政治、健康をめぐる激しい議論の場となっている。批判的人種理論の教育やマスクの義務化をめぐり、保護者団体が教育委員会への圧力を強めている。批判的人種理論やマスクの義務化については、民主党は賛成派、共和党は反対派と、二極化している。
公務員に対する脅迫の件数や程度は不明だが、ガーランド氏は書簡の中で、この現象が広まっていると示唆した。
ガーランド氏は「公務員に対する脅迫は違法であるだけでなく、わが国の基本的な価値観に反するものだ」と指摘。教員たちは身の危険を感じることなく仕事ができるようになるべきだと記した。
また、「当局はこれらの事件を深刻に受け止め、権限と資源を活用して脅威を阻止し、発生した場合には特定し、適切な場合には起訴することを約束する」と付け加えた。
(翻訳編集・武田綾香)
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