「共通の脅威」に対抗…日英、より強固な防衛協力に向けて 円滑化協定交渉開始

2021/10/04
更新: 2021/10/04

日英両国は9月28日、防衛分野における相互訪問・訓練などを一層強化する「円滑化協定」の締結に向けた交渉を開始することで合意した。自衛隊と英国軍による共同訓練の実施などについて、法的枠組みなどを調整する。この発表は、英クイーン・エリザベス空母打撃群が日本を訪問した直後に行われた。

英政府は同日に発表した声明で、「英国と志を同じくする日本は、インド太平洋地域における重要なパートナー」であると述べ、協定が締結されれば「両国政府と軍は協力して世界的な安全保障上の課題に取り組み、共通の脅威に対抗することが可能になる」とその意義を表した。

英国は3月、インド太平洋地域への戦略的シフトを明示した、外交・安全保障政策の指針「統合レビュー」を発表した。この指針のなかで、中国について、英国の経済的利益や安全保障に最も重大な脅威を与える権威主義国家であり「体制的競争相手」と記している。

茂木外相は28日の記者会見で、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、日英円滑化協定の早期締結を目指すと述べた。

円滑化協定は、自衛隊とイギリス軍の共同訓練の際の出入国手続きや事件・事故の責任を定める法的枠組みを調整し、訓練実施までの円滑にすることを目的としている。日本がこの協定の締結に向けて交渉入りするのは、オーストラリアに次いで英国が2か国目。

防衛省は、この協定により「日英防衛協力は更なる高みを目指す」とツイートした。さらに、「自衛隊と英国軍は連携をより一層強固なものにして、インド太平洋地域における平和と安定の確保に取り組んでいく」と強調した。

英政府の声明によると、日本との円滑化協定は、3月の統合レビューで示した方針にかなうものだという。声明は、国防相および外相のコメントが紹介されている。ベン・ウォレス国防相は「両国隊員の訓練や合同演習などの二国間活動をより簡単かつ迅速に進め、より定期的な訓練プログラムにつなげることができる」と述べた。

リズ・トラス外相は「二つの島国の民主主義国家は、同じ基本的な自由を信じている。日本との強力な経済・安全保障パートナーシップは、英国の長期的な利益にとって極めて重要だ」と語った。

(佐渡道世)