米アップル社がこのほど、「iCloud」に保存された児童の性的虐待画像(児童ポルノ画像)を検知する機能を発表した。プライバシー擁護派の間では、中国などの強権国家がアップルの児童ポルノ検出ツールを、政治異見者の監視に悪用する可能性を警告した。
同社は、ハッカーが攻撃する可能性のある外部サーバーにデータを転送するのではなく、携帯電話を直接スキャンすることでユーザーのプライバシーを保護すると主張しているが、政府による監視を容易にする危険なシステムであるという懸念が高まっている。
同社は、このツールの使用を児童ポルノのスキャンに限定することを約束した。
米右翼系NPO「リンカーンネットワーク」の幹部ザック・グレイブス氏は、アップルは今後、中国などの強権国家から政治監視などへの転用を強要されるのは、ほぼ確実だとみている。
アップルは中国政府と「良好な関係」を保っている。中国は主要な消費者市場であり、アップルのサプライチェーンのほとんどは中国にある。同社が、中国ユーザーの個人データを中国国営コンピュータのサーバーに保存していることは、物議を醸している。
米グーグル社もユーザーのGmailアカウントなどを自動的にスキャンし、児童ポルノがあるかどうかをチェックしている。しかし、アップル社が初めて、この機能をユーザー端末にインストールした企業である。
カリフォルニアに本拠を置くNPO、デジタル権利擁護団体の「電子フロンティア財団」(Electronic Frontier Foundation)の幹部インディア・マッキニー氏と技術専門家のエリカ・ポートノイ氏は、「このツールは用途が限定されている狭いバックドアだが、バックドアであることに間違いない」と懸念を示した。
(翻訳編集・叶子)
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