ジンバブエ、中国石炭採掘プロジェクトに反対 内外で矛盾する中国気候変動政策

2021/07/07
更新: 2021/07/07

ジンバブエの環境活動家は、同国最大の国立公園であるワンゲ国立公園付近で計画が進む中国の石炭採掘プロジェクトに、地元住民や野生動物に影響が及ぶとして反対運動を起こしている。

ワンゲ地区のダンド村(Dinde)では、約600世帯が中国北発投資会社(Beifa Investments)の石炭採掘プロジェクトに反対し、同プロジェクトが進めば住宅を失うことになると恐れている。しかし、多くの人は報復を恐れて公に声を上げることができない。

石炭の採掘によって、川に有毒な酸が流出すると心配しており、家畜や野生動物が放牧されている土地も奪われることになると心配する村民もいる。さらに、ジンバブエ最大の野生動物保護区であるワンゲ国立公園が侵食される可能性もある。

いっぽう、北発投資会社は同プロジェクトの建設を続けている。ジンバブエ政府は、プロジェクトを承認する前にダンド村の村民と相談しており、ジンバブエ環境局の教育・広報担当のアムケラ・シダンゲ(Amkela Sidange)氏は、村民の懸念はすでに解決されたと米政府系ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に述べた。

地元のNGOである自然資源管理センター(Centre for Natural Resource Governance)も、ダンド村での石炭プロジェクトに反対している。その理由のひとつに、村民が強制的に移転させられた場合、再定住に関する明確な計画が見られないことを挙げている。

さらに、同NGOの担当者であるフライ・マグウ(Farai Maguwu)氏によると、石炭開発はグリーン経済を構築し、2030年までに二酸化炭素の排出量を33%削減するという政府の計画を阻害するものになる。

国内外で矛盾している中国の気候変動政策

4月27日、中国当局は途上国の石炭火力発電所に数十億ドル(数千億円)程度の資金提供を行う方針を示した。いっぽう、習近平国家主席が国内では、2030年に温室ガスの排出量をゼロとする目標を掲げている。

ジンバブエが南部にある石炭火力発電総合施設のプロジェクトを20年間、着工に向けて尽力してきた。地球環境問題の懸念で、日米欧の金融機関が既に投資を取りやめたが、同プロジェクトは2020年、中国から42億ドル(約4490億円)の資金を得て始動したという。

中国は世界の温室効果ガスの最大排出国であるにもかかわらず、ジンバブエからインドネシアまでの国々にある石炭火力発電所への出資を続けている。これらの発電所による排出量は、主要先進国を上回ることになると環境活動家らは指摘している。

(翻訳編集・蘇文悦)