ガーナ国営紙、新疆問題で中国批判 中国大使が火消しに躍起

2021/06/22
更新: 2021/06/22

ガーナ国営紙「デイリー・グラフィック(Daily Graphic)」は最近、BBCの報道を引用し、中国が新疆で「地獄のような恐ろしい光景を圧倒的な規模で作り出している」と厳しく批判した。同国の中国大使は4日連続で地元主要メディアやウェブサイトに反論記事を掲載した。中国共産党(以下、中共)によるアフリカへの浸透を問題視する声が上がっている。

デイリー・グラフィック紙は同国の最大の新聞社で、英語版の1日の販売部数は60万部。1998年から新華社の配信サービスを受けている。

「中国は新疆で人道に対する罪を犯した」

ガーナ紙の記事は、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの見解を引用したBBCの報道を掲載した。アムネステイのアニエス・カラマール(Agnès Callamard)事務総長は、「中国当局は地獄のような恐ろしい光景を圧倒的な規模で作り出している」「ウイグル族やカザフ族などイスラム教徒の少数民族に対し、集団拘束や監視、拷問していた」と非難したという。

これを受け、駐ガーナの盧坤中国大使は16~19日の4日間連続で、「デイリー・グラフィック」をはじめとする多くのガーナの主要メディアやウェブサイト、ラジオ局などで「新疆は素晴らしいところだ」と題する文章を発表し、「新疆を実際に見てほしい」と呼びかけた。

記事掲載後、ガーナの複数の記者が「新疆を訪問したい」と発言した。

中国の国内でも、「アフリカメディアもBBCの悪影響を受けた」とする記事が新浪(sina)、捜狐(Sohu)、ブルームバーグなどのウェブサイトに掲載された。「西側メディアは中国を誹謗中傷するデマを拡散している。新疆の安全と安定を損ない、地域経済の弱体化、中国の発展を抑制するためだ」と主張した。

中国側の反応について、亡命ウイグル人組織をまとめる「世界ウイグル会議」の報道官はメディア大紀元と姉妹関係にある新唐人に対して、「世界の怒りを中国が感じ取り、火消しに躍起になっている」とコメントした。

中国、アフリカへの長年の浸透

中国共産党が近年、中国中心とする世界秩序の構築に野心を見せており、その黒い手をすでに世界各地へと伸ばしている。アフリカはその立ち遅れた経済と権威主義体制のため、中国の標的となっている。

中国によるアフリカへの浸透は長い歴史がある。中共が1949年に政権を握ってからは、西側とイデオロギー上の対立があったため、中国は外交でアフリカを中心としてアジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国に頼って来た。政治的支援と引き換えに対外援助や経済支援を行うことは北京の常套手段である。

1971年の第26回国連総会で、アルバニアが提案した「中華人民共和国の中国代表権を認め、中華民国政府(台湾)を追放する」決議が採択された。その際に支持票を投じた国々の3分の1以上がアフリカ諸国だった。

2000年以降、中国は「中国・アフリカ協力フォーラム」を通じて、アフリカ諸国と協力関係を深めた。巨大経済圏構想「一帯一路」など、その浸透手段も多様化している。

現在、中国はアフリカ諸国と最も多くの経済協力協定を結んだ国となっている。

中国が長年にわたってアフリカに浸透した結果、中国政府は国連などの国際機関で強力な支援が得られた。

今回の中共ウイルス(新型コロナウイルス)によるパンデミックで、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長の行動はその最たる例だ。ウイルス感染が発生後、テドロス氏は中国の対応をたたえ、その後も中国寄りの発言を繰り返した。

(翻訳編集・李凌)