中国大使館が再び「指図」、印メディアが猛反発 台湾をめぐって

2020/10/27
更新: 2020/10/27

インド中国大使館は10月23日、21日に台湾の吳釗燮外交部長(外相)を独占取材した印メディア、「Zee News」放送局傘下の国際報道チャンネル「WION」宛に、抗議の書簡を送った。これに対して、Zee News側などは、中国大使館は「印メディアの報道の方向性について指図をしようとしている」として猛反発した。

台湾メディア「中央社」によれば、中国大使館は22日、「Zee News」放送局傘下の国際英語ニュースチャンネル「WION」宛に書簡を送った。書簡は、台湾は中国の領土の一部であるとする「一つの中国の原則」を順守し、台湾を「国家」としてを扱わないよう要求した。また、書簡は「WIONは、インド政府の長年の立場を無視し、台湾の民進党当局の分裂活動にプラットフォームを提供していることに強く抗議する」とした。

Zee NewsとWIONは、中国大使館の威圧的な態度に怒りを露わにし、各ニュース番組を通じて、中国側が「常にインドメディアの報道の方向性を指図しようとしている」と批判を展開した。

WIONは22日夜、政治評論番組で、中国当局によるインドの報道の自由に対する「乱暴な干渉が絶えない」と非難した。また、番組は、中国当局による台湾への軍事的威嚇、インド領土への「侵入」、東シナ海や南シナ海などでの軍事的拡張などを取り上げた。

一方、21日に台湾の吳外相の取材を担当したWIONのキャスター、Palki Sharma氏は、ツイッターに中国大使館からの書簡を掲載し、「中国大使館はWIONに、『一つの中国』の原則を守れと求めたが、では中国側も『一つのインド』を順守すべきではないか」「中国当局は先にカシミール(Kashmir)地方、ラダック(Ladakh)地方、アルナーチャル・プラデーシュ州(Arunachal Pradesh)がインドの一部であることを承認してくれるのか」「主権の尊重は双方向である」などと反論した。

インドとパキスタンは、カシミール地方について、長年「自国領土だ」と互いに主張している。中国当局はパキスタン側の立場を支持している。また、中国とインドは、ラダック地方とアルナーチャル・プラデーシュ州の主権をめぐって対立している。今年5月、中印が国境地帯で衝突して以降、両国の軍がラダック地方で対峙を続けている。これまでの衝突で、両軍に死傷者が出たほか、実効支配線周辺で45年ぶりに発砲があった。

中国大使館は10月初めにも、中華民国(台湾)の建国記念日について、広告を掲載した印紙Indian ExpressとThe Statesman、特別報道を行ったWIONに書簡を送付し、圧力をかけた。

インドの政治家や報道機関関係者の多くは、書簡を送り続ける中国大使館は、インドの報道の自由に干渉したと糾弾し、「報道の自由も言論の自由も許さない中国側が、いかに報道の自由と言論の自由を妨害しているかを浮き彫りにした」とした。専門家らは、「インドは民主主義国家である」とし、報道機関が中国側の指示に従うことはないと強調した。

インド外務省のAnurag Srivastava報道官も記者団に、「インドのメディアは、自らが適切だと判断した内容を自由に報道する権利がある」とした。

台湾の吳釗燮外相は23日、ツイッターで「中国の外交官は再びインドのメディアを黙らせようとした。幸いに、Palki Sharma氏とWIONは引き下がらなかった。彼らは称賛に値する。台湾は民主主義国家であり、善の力でもあり、決して黙ってはいられない」と示した。

(大紀元日本ウェブ編集部)