カナダ、中国大使の恫喝に批判強める、香港・新疆問題をめぐって

2020/10/20
更新: 2020/10/20

カナダの政界とメディアはこのほど、駐カナダ叢培武中国大使の威圧的な「戦狼」言論に批判を強めている。叢大使は、香港の民主化活動家を支援するカナダ政府に対して、支援をやめなければ、香港にいる30万人のカナダ国民の身の安全を保障できないと発言した。

叢大使は10月15日、大使館内で開かれたオンライン形式の記者会見に出席した。大使は、カナダ当局に拘束された中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長、香港の民主化運動、新疆ウイグル自治区の強制収容所などについて、記者団からの質問に回答した。
同氏は、孟氏の拘束は「米国が作り上げた政治事件だ」と批判し、香港や新疆について、「人権にかかわる問題ではなく」「中国の内政であり、外国からのいかなる干渉も許してはならない」と強い口調で述べた。

また、叢大使は、カナダ政府がこのほど、香港の民主活動家2人の政治亡命を認めたことや、カナダ国会議員60人余りが提案した香港市民への支援計画を批判した。大使は、昨年の抗議デモに参加した香港市民を「暴力的な犯罪者」と呼び、カナダ政府が香港市民の政治亡命を認めることを「中国内政への介入だ」と非難した。この上で、大使は「カナダ側は、香港にいるカナダ国民30万人の健康と安全、そして香港で事業を展開しているカナダ企業を気に掛けているなら、中国側の暴力犯罪と戦う取り組みを支援すべきだ」と話した。

カナダメディアの報道によると、記者団は大使に対して、「この発言はカナダへの脅しか」と質問した。大使は「それはあなたの解釈だ」と答えた。さらに、カナダ議会が新疆問題に関していかなる法案をも可決すれば、「中国は必ず強く反発する」と大使は述べた。

カナダ世論や政府関係者はソーシャルメディアで、叢大使の発言は恫喝だと相次いで糾弾した。

16日、ジャスティン・トルドー首相は記者会見で、人権問題について「引き続き声を上げていく」と反発した。

野党保守党のエリン・オウトゥール(Erin O’Toole)党首は17日、ツイッター上で、トルドー政権に対して、叢大使を国外へ追放するよう求めた。「カナダ保守党は、叢培武大使に発言の取り消しと謝罪を求める。もし、叢大使が迅速に対応しなければ、われわれは政府に対して、大使の信任状を取り下げるよう要求する」とした。

カナダ地元紙「トロント・サン」は17日の社説で、オウトゥール氏と同じ見方を示した。「トルドー政権は非難だけにとどまるべきではない」「大使が謝罪を拒否し、脅しの発言を撤回しなければ、大使を北京に戻してください」と主張した。

在米中国人学者の戈壁東氏は、30万人のカナダ国民や各国の市民を「人質」にし、各国政府を意のままにすることは、中国共産党の本性の現れだとした。

「中国共産党は元々、中国の匪賊集団であった。毛沢東は井崗山の匪賊の頭だった。共産党が政権を奪取する前、略奪、暴行、殺人、人質など様々な罪を犯した。共産党政権はこのアイデンティティから、今、国際社会で人質外交を展開しているのだ」

中国当局は、孟晩舟氏の拘束を受けて、報復措置として、2018年12月カナダ人元外交官2人を逮捕した。今年6月、当局はスパイ罪で2人を起訴した。

(翻訳編集・張哲)