中国当局が7月18日、豪雨の影響で「長江第2号洪水」が発生し、三峡ダムに流れ込む水量が急増していると発表した。その後、中国当局は長江下流地域の江蘇省と上海市の洪水被害を避けるために、中流域に位置する安徽省内の河や湖の水門を開き放水を行い、堤防を爆破した。省の住民は、当局の事前予告なしの放水で、深刻な水害に見舞われたと大紀元に訴えた。
安徽省合肥市の長江水系淡水湖、巣湖の中廟観測所の水位は7月21日午前10時24分ごろ、史上最高水位を超えた。地元住民によると、当局は18日から、巣湖の複数の水門を開き、放水を行った。湖の周辺の拓皋鎮、槐林鎮などの住民や商店の多くは被災し、巨額な損失を被った。
拓皋鎮で調味料の販売を営む劉さんは、「最初の放水は19日の早朝だ。この前に、政府からの知らせが全くなかった。だから、家財を持ち出す余裕がなかった」と話した。劉さんによると、全域が冠水した。劉さんの店も、浸水被害を受け、「家に入った水の高さは一時2メートもあった」。
「23日昼間に、水位が人の胸ぐらいに下がったので、店に入って、使えるものだけを運び出した」
劉さんは、事前通知のない放水で「友人が危うく命を失いそうとなった。水が友人の家の屋根まで急激に増えたから」という。
「政府は被災者を救済していない。親戚の家に避難するしかない」。劉さんと他の商店経営者は今後、当局に賠償責任を追及する考えを示した。
別の住民、張玉さん(仮名)は、地元当局は18日夜から放水を開始したと語った。連日の放水で、「家の1階が完全に浸水し、2階に逃げ込んだ。22日、雨が降っていないのに、放水が続いたため、水が2階まで迫ってきた」と話した。
張さんも、放水の前に当局から知らせも、避難指示もなかったと語った。
中国当局は7月20日、大雨で増水した安徽省と河南省の境にある淮河にある王家灞ダムの13の水門を開き、放水を行った。当局は、「舍小家保大家(大きな町を守るために、小さな町を捨てる」をスローガンに、地元の住民に犠牲を強いた。中国メディア「澎湃新聞」7月21日付によると、放水で地元の農作物は甚大な被害を受けたほか、ダム周辺地に住む17万人の住民のうち、2千人余りしか避難できていない。
一方、中国官製メディアによると、安徽省当局は19日早朝3時、省を流れる長江の支流、滁河の堤防を爆破した。これにより、河の水が農耕地に流れ、水位が「70センチ下がった」という。
中国メディアは、「河南省と江蘇省を守るために、すべてを引き入れた安徽省の人々に感謝」と宣伝した。
(記者・顧暁華/凌雲、翻訳編集・張哲)
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