米当局、中国系米国人の大学教授を逮捕 中国政府や企業との関係を隠す

2020/05/14
更新: 2020/05/14

米司法省は5月8日、アーカンソー大学の中国系アメリカ人教授である洪思忠(Simon Saw-Teong Ang)容疑者を、NASA関連研究資金の提供を申請する際、中国政府や中国企業とのつながりを隠していたとして、通信詐欺の疑いで逮捕した。

米司法省は11日、米連邦捜査局(FBI)とアーカンソー州連邦検事局が、5月8日に電文詐欺の疑いで逮捕した洪思忠教授は、アーカンソー州フェイエットビルの連邦地方裁判所に初出廷した。同日夜、洪教授の通信詐欺を公表した。有罪判決を受けた場合、最大20年の懲役刑に処されるという。

アーカンソー・タイムズ紙は12日、洪思忠教授の容疑についての最も有力な証拠は、洪教授が他の中国人研究者に送ったメールだという。図書館の職員が偶然発見した。 

洪教授はメールで「中国のウェブサイトで調べれば、米国が『千人計画』の学者をどう扱うかが分かる。私がその一人であることを知っている人は少ないが、このニュースが広まったら、私の仕事は大変なことになる」と書いている。

アーカンソー大学の広報担当者によると、同大学は洪教授を停職処分とし、FBIの調査に協力しているという。 洪思忠教授は、1988年からアーカンソー大学で教鞭をとり、停職前は同大学の電気工学部門で高密度エレクトロニクスセンターの所長を務めていた。

中国が米国の機密技術にアクセスするために米国のキャンパスに工作活動を広めているとして、米国内では警戒感が高まっている。この 洪教授の他にも、最近、アトランタのエモリー大学所属の中国系米国人学者・李暁江は「千人計画」に参加し、米当局に申告詐欺の容疑で起訴され、このほど罪を認めた。

米司法省は5月11日、李暁江の罪について公表した。李は過去6年間、中国に戻り、中国のいくつかの大学で「千人計画」関連のプロジェクトに参加した。李の海外収入は少なくとも50万ドルに上るが、これを申告せず、虚偽の報告を行った。 司法省によると、裁判所は李に対して執行猶予1年の判決を下し、3万5000ドルの罰金を命じた。

米国議会上院の小委員会が2019年11月に公表した報告書によれば、中国は、米国の大学や研究機関の研究者を招へいする「千人計画」を通じて、米国での研究成果や知的財産を中国に移転して、軍事力と経済力を強化していると警告した。

この報告のための調査は、FBI、全米科学財団(NSF)、国立衛生研究所(NIH)、エネルギー省、国務省、商務省、ホワイトハウス科学技術政策室の7つの組織を対象に、8カ月間かけて行われた。報告書は、外国の人材募集プログラムに参加している研究者には、その契約条件などの完全な開示をしなければ、米国の研究資金を得られないようにすべきだと提言している。

(翻訳編集・佐渡道世)