中国当局が10月26日、成立させた「暗号法」は2020年1月1日に実施される。これにより、当局が設置した国家暗号管理局が今後、国内ネットワークの暗号を一元管理することになる。同法は、「国家安全保障」に関わる暗号は、中国当局が厳しく審査すると規定している。当局がデジタル通貨を発行する布石だとみられる。
国家暗号管理局は今年6月25日、同法の草案を提出した。10月26日に開催された第13期全国人民代表大会(国会に相当、全人代)常務委員会第14回会議で、同法は可決した。
同法は、暗号を「コア」「一般」「商業用」の3種類に分類している。「コア」と「一般」に分類された暗号は国家秘密とされ、情報の保護対象になる。「商業用」は、国家秘密でない情報を保護するために用いられる。一般市民や企業が使用できる。ただ、「国家安全に影響を与える」ものについては、当局の審査を受けなければならないという。
国家暗号管理局は、「党が暗号を管理するという基本原則を貫徹し、中央政府の指示を完全に実施する」と表明、「中国の特色ある暗号発展の道を歩む」とした。
台湾軍事評論家の蘇紫雲氏は、中国の暗号法成立は「違憲行為」だと批判した。中国の現行の憲法では、国民の「通信の自由」と「通信の秘密」が保障されている。
海外メディアは10月の報道で、デジタル通貨の発行に意欲を示す中国当局が、その下準備として暗号法を可決したとの見方を示した。デジタル通貨に用いられるブロックチェーン技術には、政府当局の監視・検閲を回避できる機能を備えているため、中国当局が暗号法を通して、ブロックチェーン市場を監視・規制する狙いがあるとみられる。
中国四川省重慶市の前市長である黄奇帆氏は10月28日、「人民銀行(中央銀行)がデジタル通貨を発行する世界最初の中央銀行になる」と発言した。
(翻訳編集・張哲)
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