台湾「国家安全法」改正案通過、中国スパイに3億円以上罰金を

2019/06/20
更新: 2019/06/20

中国当局の情報機関に協力しスパイ活動を働く公職員や軍関係者を厳罰する「国家安全法改正案が19日、台湾の立法院(国会)の第三読会(三読)を通過し、可決した。改正案は、中国当局のために台湾でスパイ組織を設立する者に対して、刑事責任を追及し、7年以上の有期懲役と最高額1億台湾ドル(約3億4600万円)の罰金を科すと定める。

改正案は、国家安全または社会安定に危害を与え、外国、中国本土、香港、マカオなどの海外敵対勢力と、それらの勢力が派遣した者のために働いたり、またはスパイ組織を作った者に対して、3年以上10年以下の有期懲役と、3000万台湾ドル(約1億391万円)以下の罰金を科すとした。

外国、中国本土などの海外敵対勢力に公的機密情報を提供した者には、1年以上7年以下の有期懲役と1000万台湾ドル以下(約3464万円)の罰金を科す。機密情報を収集した者には、6カ月以上5年以下の有期懲役と300万台湾ドル(約1039万円)以下の罰金を処する。

また、改正案は、中国当局のためにネット上で情報を収集し、サイバー攻撃を仕掛けるハッカーも厳罰の対象にした。現職、または退職した公職員や軍関係者が、中国当局のために諜報活動を働いたと認定されると、退職金の受領資格のはく奪や、すでに受領した退職金の全額返還を定めた。

中国軍の諜報員・鎮小江は2002~07年までに、許乃権・元少将を含む台湾軍の退役将校10人を吸収した。「国家安全法」の有罪判決を受け、収監された許は2017年に釈放された。しかし、その後、毎月7万台湾ドル(約25万円)以上の退職金を支給されていることが台湾で問題視された。

一方、与党・民進党や野党・時代力量の議員は19日の三読で、台湾の新聞社やテレビ放送局などが報道の自由を乱用し、中国当局を美化する「フェイクニュース」を流布している現状を食い止めるため、関連法案の改正および制定を呼び掛けた。

(記者・呉旻洲、翻訳編集・張哲)