米情報機関と国家安全保障当局の高官は12日、上院での公聴会において、中国のスパイ行為は米経済と国家安全にとって「最大の脅威だ」と強調した。
上院司法委員会は12日、中国の諜報活動に関する公聴会を開いた。同委員会のチャック・グラスリー委員長(共和党)は、米司法省が過去7年間で摘発した産業スパイ事件の9割に中国が関与していたと指摘。ロシアの選挙介入より、中国当局のスパイ行為が「もっと深刻だ」という。
委員長は、中国当局が産業スパイを通じて、様々な分野において米国を追い抜き世界の超大国になろうと狙っていると批判した。
公聴会に出席した共和党と民主党の議員は、中国産業スパイを阻止する新法案の立法に強い意気込みを示した。
連邦捜査局(FBI)の防諜部門(Counterintelligence Division)次官であるビル・プリースタップ氏は、米国の防諜活動において、中国当局は「最大の脅威」であると公聴会で述べた。同氏によると、FBIは米研究機関を対象とする中国産業スパイの通報が数千件に及んでいるという。「どれも深刻なものだった。実態はわれわれの予想を超えている」
プリースタップ氏によると、現在FBIは米国の政府機関、大学と他の研究機関と連携を強化し、中国の産業スパイを撲滅しようとしている。
司法省国家安全保障部門(National Security Division)のジョン・デマーズ・司法次官補は、米企業を狙った中国情報機関のスパイ行為が「日に日に増加している」と話した。
デマーズ氏は、中国当局は「強奪」で超大国になろうとしていると非難した。「中国共産党のシナリオは簡単だった。強奪、コピー、(ライバルに)取って代わる」この目的を果たすため、米国を含む各国の自由な社会制度を利用しているという。
国土安全保障省のサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ局(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)のクリストファー・クレブス局長によると、中国当局のスパイ行為の大半は、国防関連の下請企業や情報技術を持つ通信会社に集中している。これらの企業の製品とサービスは世界各国での政府と主要企業にも提供されているためだという。
クレブス局長は、中国情報機関は、米国のサプライチェーンに対して計画的にサイバースパイ活動を行っていると話した。
米シンクタンク民主主義防衛財団(FDD)が9月に発表した報告書は、中国のサイバースパイ活動による米企業の損害は年間3000億ドル(約33兆円)に上っていると述べた。
AP通信12日付によると、米司法省は近日、米企業にサイバー攻撃を仕掛ける中国人ハッカーを新たに起訴する予定。また、トランプ政権は、少なくとも2014年以降の、中国が米国に仕掛けた情報窃盗行為の機密文書を解禁する意向だという。
8月以来、中国情報機関による米企業の技術情報窃盗に関わったとして、米国籍技術者や、中国情報機関の情報部員やハッカーを相次いで逮捕し起訴した。
米商務部は10月29日、中国国有半導体メーカーの福建晋華集成電路(JHICC)が国家安全保障上、米国に害を与えたとして、半導体製造装置などの米国製品の輸出を規制すると発表した。
司法省は11月1日、JHICCと、半導体受託生産世界大手である台湾の聯華電子(UMC)などに対して、米同業のマイクロン・テクノロジの技術を盗んだとして起訴した。
(翻訳編集・張哲)
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