仏で大混乱巻き起こした「黄色いベスト」運動 過激派集団も加担

2018/12/04
更新: 2018/12/04

フランスの「黄色ベスト」運動はすでに3週間続き、逮捕者と負傷者はともに数百人に上り、第五共和制誕生以来最大規模の動乱であると評されている。デモ隊に紛れ込んだ過激派集団や略奪者は事態をさらに悪化させている。マクロン大統領は2日に緊急会議を招集し、経済的損失の調査と今後の対策を検討した。一方、デモの影響は隣国・ベルギーにも飛び火し、ブリュッセルでは60人の逮捕者が出た。

 

シャンゼリゼ大通りでの激しい混乱の後、フランス内務省長官は、これは社会秩序の破壊を企てた犯罪であり、プロの暴動参加者による破壊・略奪行為であると宣言した。警察が逮捕した378人のうち、多くは30~40歳の青年だった。フランス共和国検察官ヘルツ氏は、「彼らの多くはパリ以外の地域からやって来た。彼らは仕事もある。彼らがパリに来たのは、安全維持部隊との格闘に参加するためだ」と主張した。

 

12月1日昼過ぎ、大紀元記者はフランス東部のポンシャラ(Pontcharra)市で取材していたところ、商店街につながるすべての道路が「黄色いベスト」たちに封鎖されていることを知った。300メートル足らずの道のりだったが、通り過ぎるまでに30分以上かかった。かつて繁盛していた商店街の面影はなく、スーパーやレストラン、土産物屋はすべて閉店していた。

暴徒によって破壊された店のショーウィンドウ(Photo by Alain JOCARD / AFP) (Photo credit should read ALAIN JOCARD/AFP/Getty Images)

フランス人のWilliamsさんは多国籍企業の上級マネージャーだ。彼は大紀元の取材に応じ、「黄色いベスト」デモの背後にあるのは生活水準の下落と高い税率に対する不満であり、ガソリン税の増税は導火線に過ぎないと語った。「黄色いベストを着た市民たちは、社会の商業活動を停止させることで、政府の注目を集めようとしている。これが騒動の真相だ」

多くのデモ参加者は平和的だが、デモ隊の中に極端主義者や暴徒が紛れ込んでいることも事実だ。フランスメディア「ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)」によると、多くの「黄色いベスト」たちは暴力行為を非難し、そのような暴力行為によってデモは意味を失ったと考えている。一般人からなる「黄色いベスト」の周りには、少なからず経験豊かな「闘士」が彼らを補佐していた。それらの「闘士」は極左もいれば極右もいるという。

 

極左暴力分子が暴力行為に参加していたのは明らかだ。デモ隊の中には反資本主義的な標語や共産主義の旗が見られた。いくつかの極右団体もデモへの参加を明らかにした。

 

RFI記者は、それらの闘士が最前列に立って警官隊と対立し、慣れた手つきで放火し、バリゲートを築く姿を見た。集結する人だかりに対して警官隊が催涙弾を発射すると、「闘士」たちは「黄色いベスト」に対して勝手に隠れないよう「命令」していた場面もあった。

 

デモが終わりに近づき、たそがれ時になると今度はごろつきたちが町に繰り出した。彼らはバスティーユ広場やシャンゼリゼ大通り周辺に出没し、警官隊がデモ隊の対応に追われている時に商品を略奪した。そして自動車やオートバイに火をつけ、人の流れの中に姿をくらました。

燃やされた自動車(Photo credit should read GEOFFROY VAN DER HASSELT/AFP/Getty Images)

今回のデモでは非常に若い略奪グループも見られた。彼らはパリ周辺地域の出身で、混乱に乗じて略奪するためだけにパリ市内に侵入した。

12月1日、フランス警察当局の統計によると、フランス全土で黄色いベストは13万6000人だった。先々週末の28万2000人や先週末の16万6000人と比較すれば、デモ参加者数は週を追うごとに減少しているが、破壊力は増加している。フランス内務省のローラン・ヌニェス国務秘書によると、デモの現場には少なくとも3000人の暴力行為者がおり、彼らはガソリン税の増税に反対する「黄色いベスト」たちとは全く異なる存在だ。

煙に包まれたパリの凱旋門(Photo by Veronique de Viguerie/Getty Images)

フランスのデモは隣国ベルギーにも飛び火している。ベルギー・ブリュッセルでは土曜日、数百名のデモ参加者が黄色いベストを身に着け抗議活動を行った。一部のデモ参加者は政府機関が入るビルに接近しようとしたため、警察は催涙弾と放水で対応し、約60人を逮捕した。一連の事件が暴力の連鎖を引き起こすのではないかと危惧する声もあり、一刻も早い事態の収束が望まれている。

(翻訳編集・文亮)