ポンペオ氏訪中時「冷や飯を食わされた」北京内部からも不満の声 混乱露呈

2018/10/27
更新: 2018/10/27

ポンペオ米国務長官が8日訪中した際、中国側は食事会などの歓迎行事を催さず、同氏を冷遇した。これに対し、北京指導部の内部からも、「無礼な対応だ」と不満の声が上がった。米中貿易戦争をめぐる北京指導部の混乱ぶりを露呈した。

25日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは北京指導部に近い情報筋の話を引用し、ポンペオ長官の訪中に関する詳しい情報を伝えた。それによると、訪中したポンペオ氏は習近平主席との話し合いを申し入れたが断られた。同氏はその後、王毅国務委員兼外相と会談した。王氏は1時間足らずの会談で、貿易摩擦や台湾などの問題でトランプ政権への非難に終始し、「米国が誤った行動を正すべきだ」と対立姿勢を貫いた。

会談後、王氏一行はポンペオ氏を食事に招待しようともせずに、そのまま立ち去った。ポンペオ氏に対する侮辱とも取れる王氏の言動に、中国国防部や上層部の幹部も妥当でないと批判したと情報筋は話した。

ポンペオ氏が今回、アジア歴訪の最終地・北京に到着した直前、ペンス米副大統領は対中政策に関する講演で中国共産党政権を批判したばかり。

副大統領は4日、シンクタンクのハドソン研究所で行った講演で、米中関係の変遷に言及し、中国共産党政権は長い間、米国内で浸透工作を行い、米社会にさまざまな問題と脅威をもたらしたと指摘した。米中間の対立は貿易戦争のみならず、人権、政治、軍事などの分野にも広がった。

8月9日付香港紙、蘋果日報(アップルデイリー)によると、米中貿易摩擦の影響を受け、人民元が大きく下げ、株価の下落も続いているが、指導部にとっては内部の暗闘がもっとも恐ろしい。貿易摩擦の対応をめぐり上層部の意思がまとまらず、各級幹部も責任逃れの方策ばかりを図り、混乱を極めているという。

米紙ニューヨークタイムズも同月14日、「中国の指導者たちを悩ませるトランプ氏の貿易戦争」と題した記事で、中国・広州にある曁南大学国際関係学院の陳定定教授の話として、米中貿易戦争をめぐり、北京指導部では意見が分裂し、強硬派と妥協派に分かれていると伝えた。

同記事は、権力の駆け引きによって「不毛な議論が多い」という中国共産党政権の弱点が露呈したと指摘。また、こうした混乱は、最高指導部が国政の最高決定権を掌握していないことを物語っていると分析した。

(翻訳編集・王君宜)