中国、9月CPIが2.5%上昇、「実態を正確に反映せず」=米WSJ

2018/10/17
更新: 2018/10/17

中国国家統計局は16日、9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.5%上昇と発表した。CPI上げ幅は4カ月連続で上昇した。当局は発表で、9月のCPI上昇率は8月の2.3%よりやや拡大したことを示したが、市民の実感と大きくかけ離れている。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が16日報じた。

中国側の発表によると、9月のCPIを押し上げた主因は食料品価格の上昇だ。食料品価格の上昇率は同3.6%で、今年2月以来の高水準となった。9月生鮮野菜の価格は約15%、生鮮果物は約10%、卵は7.1%とそれぞれ上昇した。

9月の非食料品価格は同2.2%の上昇で、8月の2.5%上昇よりやや鈍化した。しかし、交通運輸燃料価格は同20.8%上昇した。8月の19.4%上昇から拡大した。

WSJによると、二人の子どもを持ち、北京の多国籍企業で勤務する中国人既婚女性は食料品価格の上昇で生活コストが高騰したと訴えた。「これまで、50元(約812円)で一週間分の野菜を買えたが、今は3日間しか持たない」

中国当局は今年のCPI目標を3%前後と設定している。

同報道によれば、一部のエコノミストと中国人消費者は、当局のCPI統計は実際の市民生活コスト上昇を正確に反映していないと指摘した。また、今年夏の中国大都市の家賃が上昇しているほか、中国市民の教育費、医療費や他のサービス関連支出の負担も拡大している。専門家は今後中国のCPIの上昇は加速するとの見通しを示した。

家賃上昇率、当局「3%未満」VS民間「16%上昇」

当局は、9月のCPI統計のうち、非食料品価格の構成指数である家賃は同2.6%上昇とした。

いっぽう、民間の住宅業界団体「中国房地産協会」の統計では、9月の家賃は同16%の上昇を示した。一部の専門家は、調査の際のサンプルの抽出方法と統計方法の違いが原因で、当局発表の統計と民間統計の間で大幅な差が生じたとした。中国経済のインフレ圧力が過小評価されていると指摘する専門家もいる。

中国人民銀行(中央銀行)が9月14日、今年7~9月期都市部住民意識調査の結果を発表した。同調査は人民銀行が全国50の都市の2万世帯を対象に実施したもの。これによると、約6割以上の回答者が10~12月期において、物価上昇圧力が強まると予測。

WSJは、米中貿易戦が激化するなか、中国市民の収入の伸びが減速し、価格上昇による生活費が増加することで、中国経済を支える個人消費に大きな打撃を与えると指摘した。

いっぽう、国家統計局は16日、9月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比3.6%上昇したと発表した。8月の4.1%上昇から失速。中国国内経済活動の停滞と内需の縮小が原因だとみられる。

トランプ米政権は、今後2670億ドル(約29兆9040億円)相当の中国製品に新たな関税措置を実施すると示唆している。中国側は米国製品への追加関税措置を行う場合、さらなる物価上昇を招く可能性がある。

ロイター通信(16日付)によると、米金融大手モルガン・スタンレーの試算では、中国が600億ドル(約6兆7200億円)相当の米製品に15%の追加関税を課した場合、中国のCPI上昇率は一時0.2~0.3%押し上げられる可能性がある。

(翻訳編集・張哲)